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「女王陛下のお気に入り」あらすじと難解なラストも徹底解説!

どうもこんにちは、NITARIです。

エマ・ストーン主演の「女王陛下のお気に入り」を観ましたので感想です。

なお、現在この作品はU-NEXTで視聴可能です。(配信終了予定:2019年11月30日)
U-NEXTには31日間無料トライアル期間があります。

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「女王陛下のお気に入り」のあらすじ

出演者

  • オリヴィア・コールマン – アン女王
  • エマ・ストーン – アビゲイル・メイシャム
  • レイチェル・ワイズ – サラ・チャーチル
  • ニコラス・ホルト – ロバート・ハーレー
  • ジョー・アルウィン(英語版) – サミュエル・メイシャム(英語版)
  • マーク・ゲイティス – ジョン・チャーチル

舞台は18世紀初頭、イギリスはフランスと戦争状態にあったが、宮廷内は戦争の喧騒とはかけ離れた優雅な暮らしをしていた。

そんなイギリス宮廷に1人の女性がやってくる。彼女は名をアビゲイルという。

当時イギリスを統治していたのはアン王女だったが、彼女は体調が思わしくなかった。そんな彼女の世話をしていた側近のサラが事実上女王の意思決定を担っていた。

イギリス宮廷にやってきたアビゲイルは、そんなサラの従妹なのだった。

サラの口利きによって宮廷内女中として働き始めたアビゲイル。しかし彼女は同僚からの嫌がらせに合っていた。
そんなアビゲイルはある日、通風で苦しむ女王のために薬草を摘み、塗る。すると女王の痛みは和らいだ。

その出来事を評価したサラはアビゲイルを侍女に昇格させる。
何事にも熱心に取り組み誠実なアビゲイルと、勝気な性格で女王を操るサラ。

サラはフランスを脅威に思い、戦争を進めるために税金を倍増させようとしていた。しかしハーリーなど多くの政治家たちは戦争を終結させたいと望んでいた。

ある時アビゲイルは、サラと女王に肉体関係があることを知る。
アン女王からの信頼を勝ち得てきたアビゲイル。いつしか宮廷内にその立場を深く刻み込もうと思い始めたのだった。

※以下、ネタバレを含む感想を書きますので、観ていない方はお気を付けください。

「女王陛下のお気に入り」のラストについて

この映画は比較的単純なストーリーでわかりやすいですが、ラストシーンだけはややはっきりしない、という感想を持つ方が多くなりそうかなと思います。

最後のシーンはどういう意味だったのでしょうか?

エマ・ストーン演じるアビゲイルが女王に呼ばれ、足をマッサージするように言われる。彼女は言われた通りにするが、女王は痛むというのに立ちっぱなし。

アビゲイルは女王にベッドを進めますが「私は女王、指図はするな」と言い放ち、女王は結局立ったまま。アビゲイルはそのまま彼女の足をマッサージします。

音楽はなく、バックにはパチパチ……コトコトという状況音。
「パチパチ」はおそらく暖炉の火だろうけど、この「コトコト」という音、一体何の音だろう?

と思っていると画面上に女王が大切にしている17匹のウサギが蠢く様子がオーバーラップ。
「コトコト」は、ウサギの生活音だったわけですね。

そしてその不穏な空気のままフェードアウトしてエンディング。というわけです。

ここで重要なのは「17匹のウサギ」。
このウサギは実はこの映画の非常に重要なモチーフです。

この映画の初めから、女王がウサギに入れ込んでいる様子が描かれますよね。
序盤では「ウサギに挨拶して」と女王はサラに言いますが、サラはそれを拒否します。

しかし中盤で、サラが大切にしなかったウサギをアビゲイルがかわいがったことから、女王からの大きな信頼を受ける事になったわけです。

その時の会話で、女王が17人の子を亡くしたという事が語られます。17匹のウサギはその代わりだ、と。

ウサギは女王の「お気に入り」でした。同じように、アビゲイルも所詮は彼女の「お気に入り」だったというわけです。

最後のシーンで、「私は女王よ。指図をするな」というような事を強く言い放ちますが、その時のアビゲイルの表情が変わったことに気づきましたか?

この映画ではアン女王は頼りなく、いつもサラに頼り切りだったわけですが、腐っても女王。その威厳をラストシーンで見せたのです。

と同時に、その直前のシーンでアビゲイルが一匹のウサギを踏みつぶそうとしたように、身体を支えられなかった女王がアビゲイルの頭に手を載せて体を支えた、その力関係の表れがこのラストシーンに描かれているのです。

アビゲイルもサラも、どれほど努力し取り入ったところで、所詮口のきけない「お気に入り」のウサギと変わらない扱い。女王とは格の差があるのだ、という事を示した女王と、その事実に直面したアビゲイルの困惑を描いたラストシーンだったというわけ。

「女王陛下のお気に入り」の感想

というわけで、大雑把な解説は以上です。

一口に言って、それほど面白くなかったな、というのが感想です。
私自身は予告の様子からかなり期待が高まっていたんですよ。

何しろ、イギリス宮廷内を描いたブラックコメディ。愛憎劇みたいなものを観れるというのだから、これはつまらないはずがない。

しかしながら実際は、特に面白くなかった。

「女王陛下のお気に入り」の演出面について

とにかくこの映画はストーリーが非常に既視感にあふれた普通の映画だったんですよね。

もちろん、普通の映画でもしっかりとした哲学のある作品なら全然良いと思うんですが、この映画に関しては内容も演出もものすごく大したことがなかった。

というよりは、演出がダメだったから、この程度の映画になってしまったのかな、というくらい私としてはけちょんけちょんです。

まず、とにかく映像の作り込み方が甚だ鬱陶しい。

このブログを定期的に読んでくださっている方ならわかってくださると思うんですが、私が何を嫌うといって、とにかく「かっこつけた映像」が一番嫌いなんですよ。

で、この「女王陛下のお気に入り」はまさにそれ。
そもそも映像のおシャンティなムードがダメ。かっこつけた感じがひたすらにうざい。

ミュージックビデオか?MVなのかよ!??と監督に問いただしたい感じでしたよ。

広角レンズ(っつーか魚眼レンズ?)の多用。
こだわっている割に薄っぺらい構図。(構図にこだわるなら小津くらいやれ)

とにかく見た目からこの映画は簡単に人気の出そうな、言ってみれば「インスタ映え的映画」って感じですよね。どこを切り取ってもMVっぽいし雑誌に出てきそう。ウザい

一応言っておけば、私も何も映像にこだわった作品が何でも嫌いっていうわけではありません。

リリーのすべて」は映像こだわりすぎ監督トム・フーパーの作品ですけど素晴らしかったし(同監督の「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」は低評価ですが)、いかにも薄っぺらMV系ですが、「マリー・アントワネット」も結構好きです。

映像がこだわりすぎていてもいい作品は良い。
しかしこの映画は見た目がインスタ映え的なのに、本質的っぽく装っていたところが全く共感できませんでした。

「女王陛下のお気に入り」の照明

見た目の話をもう少し。
この映画は、撮影にほぼ自然光だけ使ってるそうです。

全体的にすごく映像が暗かったので、そうなのかなと思って調べたら実際そうだったようです。

普通の映画は自然光だけだと暗くなりすぎるので、室内の照明とか以外にも撮影用に照明器具を入れます。

しかしこの映画は多分リアリティを出すために室内の照明(蝋燭やたいまつなどの火)だけを使ったのかな、と思いました。

しかしながら私はこういったことに一切の利点を感じません。
映画の世界は所詮虚構。虚構の映画を撮るのにただ照明だけを自然光にしてどーする

ましてや、私のような素人がみていて「これ暗いから自然光だな」なんて思わせてしまう撮影はどうかと思います。

「女王陛下のお気に入り」の社会風刺

この映画に私が最も期待したのは、「社会風刺」という点。
だってこの映画売り文句が、「ブラックユーモア」「社会風刺がすごい!」「暗そうに見えてめちゃくちゃ笑える!」という感じだったでしょ。

しかしながら蓋を開けてみれば、全然笑えなかった。

これは社会風刺に私が気づかなかったわけでもなければ、社会風刺してなかったわけでもなく、要するに笑いを取ろうとしてたけどスベってた、ということ。

私はかねてより「すべての映画には『ユーモア』もしくは『ホラー』が必要」といっています。だからとにかく映画における「ユーモア」にはことさらウルサイ。

社会情勢、歴史などを踏まえた風刺的作品なんて期待せずにいられますか!って感じですが、もうこの映画に関しては「社会風刺してます」感がすげえ

笑いっていうのは意外性から出てくるものなので、この映画でも「いかにもお堅い宮廷映画っぽく見えてめっちゃ風刺して笑いを取って来てる」感がすごくて逆に別に笑えないわけです。

平たく言って笑いのセンスがない。

序盤でアビゲイルが乗った馬車で前の男が自慰していた、というシーンがありましたけど、宮廷内で下品なことを敢えて言って笑いを取ってるわけですが正直寒い。

質の高い笑いってこういう事ではないわけです。
女王が弱ってその代わりに周りにいる人がてんやわんやっていうのは、これはもう質の高い笑いなんかではなくてただ単にドタバタ

これに比べてしまえば、今年同じくアカデミー賞にノミネートされている「ROMA」の笑いのセンスの高さなんかもう、腰を抜かしてしまうレベル。

「ブラックコメディー」なのに笑えなかった時点でこの映画は非常に私の中でがっかり作になってしまったわけです。

「女王陛下のお気に入り」のストーリー

ストーリーに関しても同じような事が言えます。

この映画、立派な感じにデコレーションはされていますが、日本人が「イギリス宮廷版大奥」と一言に言ってしまえるほどにありきたりな作品になってしまったわけですよね。

20分くらい見ていたら、アーこれはこーなるなーとかあーなるなーというのは読める。
10年くらい前の映画「ブーリン家の姉妹」とかもそういう話だったし、こういう映画は本当にいくらでもある。

別に先が読めても素晴らしい映画はいくらでもありますが、この映画に関しては大した内容でもないのにドヤ感がすごかったんですよね。

私自身の個人的な好みとして、こういう宮廷内の覇権争いみたいなものが全然楽しめないので面白くなかったのかもしれませんが、そもそもこういう女王の付き人のいろいろな話って、正直いって文春的ゴシップ程度のものではないんですか?

実際、最終的には女王が自分威厳を見せて、「所詮はお前たちも自分の飼い猫なのよ」みたいな結論になっていたけど、正直言ってそれは当たり前の話で、そんなバカみたいな話に付き合わせないでもらいたいワというのが本音です。

全体を通じて政治色がめちゃくちゃ強いように見えて、意外とそうでもないしギャグはスベりまくってた感じだし、もう側近の女たちのいざこざは食傷気味です。

そしてそれなのに、この映画がいかにもインテリ層向けっぽい感じで制作されているのも鼻につくんですよ。

ちょっと頭いい人じゃないと楽しめない感じじゃないですか。映像の雰囲気も相まって、なんかいかにもちょっと頭いい人が評価しそう。

「女王陛下のお気に入り」女優たち

それにしても、女優達は素晴らしかったですよね。

主演のオリヴィア・コールマンは何度かしか見たことがなかったけど素晴らしい存在感だったし、エマ・ストーンの豹変ぶりもよかった。

私としてはレイチェル・ワイズが特に良かったと思います。

演技はいいんですけど、それでもどうしてもこの映画の鼻に付く感じが鬱陶しくてダメでしたね。

まとめ

というわけで私は特にこの映画に対して何の面白みも感じませんでした。
見た目やうわべばかりにこだわった感じで、不誠実な気がしてしまいました。

こういう映画を観ると「ROMA」のような映画がいかに傑出しているのかを再確認してしまいますね。

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なお、現在この作品はU-NEXTで視聴可能です。(配信終了予定:2019年11月30日)
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