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小説&ドラマ版【湊かなえ:贖罪】感想・胸糞ミステリー完全解説!

湊かなえの「贖罪」読みました。
これはほんとーにイヤーな感じで最高っすねえー

湊かなえ小説「贖罪」あらすじ

この小説は、他の湊かなえの作品と同じく、登場人物たちの主観で語られる作品です。

登場人物

  • 紗英 ー「フランス人形」結婚するまで初潮が来なかった。
  • 真紀 ー「PTA臨時総会」後の小学校教師。
  • 晶子 ー「くまの兄妹」後の引きこもり。
  • 由佳 ー「とつきとおか」一児の母。
  • エミリ ー 小学校4年生の時、性的暴行を受けた上絞殺された美少女。
  • 麻子 ー「償い」エミリの母。

田舎の小学校に都会から転校生エミリがやってくる。彼女は同級生たちに羨望のまなざしを向けられる。

4人の同級生と仲良くなったエミリだったが、ある時4人と一緒にいたエミリが男に呼ばれて連れていかれ、殺されてしまった。

4人はなぜか犯人の顔を覚えてはおらず、調査は難航した。
エミリの母親の麻子は、犯人が捕まらないのは4人が犯人の顔を覚えていないせいだとして、彼女らに「あなたたちのせい!」との言葉を投げかけてトラウマを植え付ける。

4人は罪の重さに苦しみながらそれぞれのトラウマと共に成長し、さらなる悲劇を巻き起こしてゆくのだった。

湊かなえ「贖罪」ネタバレ感想

「イヤミスの女王」と呼ばれる湊かなえ

湊かなえは有名な作品に「告白」「白雪姫殺人事件」などいろいろありますね。
「イヤミスの女王」、と言われています。

「イヤミス」とは?

呼んだあと、嫌な気持ちになる後味の悪いミステリーの事。イヤミスという言葉を最初に使ったのは、霜月蒼とされる。

私は湊かなえの作品が非常に好きなのでいくつか読んでいますが、この後味の悪さが素晴らしいですよね。

ま、はっきり言ったら悪趣味です。悪趣味極まりないです。
この「贖罪」の悪趣味さもただ事ではありません。全部読んでいるわけではないですけど、かなりのものなのではないかな、と思います。

湊かなえの作品は「推理小説」ではない

湊かなえの作品は非常に癖が強いので、好きな人と嫌いな人に大きく分かれるのではないかな、と思います。

そもそも湊かなえの作品はミステリーではあるけど「推理小説」でもないし、最後の最後まですっきりしないばかりか嫌な気持ちになって終わってしまう。

ミステリーが好きな人は、割と「すっきり」するために観ているような節がありますので、それで賛否両論なのかなと思います。

しかし湊かなえ作品の素晴らしい所は、人間の本質的な暗部を明確に描いているという点ですよね。

「推理小説」や一般的なミステリー小説は、人間性よりもトリックを描くことに注力しがちですが、その割にあんまりおもしろくないことも多いです。
一般的に「ドラマ性を重視したミステリー」を描く作家も多くいますしいくつか読んでいますが、肝心の人間の描き方が稚拙すぎて読むに堪えないという点があります。

例えば東野圭吾は評価されがちではありますが、基本的にミステリー作品というのはミステリーが好きな畑の人が評価するので、そもそも文学性や芸術性に対して造詣が深くないと、私は思っています。

湊かなえの作品は決して文学性が高いというわけではありませんが、人間模様の掘り下げ方は独特ですばらしいですよね。

湊かなえが直木賞を取っていない以上、私は直木賞には信憑性がないかなとすら思ってしまうくらいです。

湊かなえ「贖罪」の妙なドラマ性

この作品は、ただの現実的なミステリーではなくて、超常現象的なものも含んでいます。
殺された友人の母親から「あんたたちのせい!」と言われたことが呪いとなって、4人全員が人を殺してしまうわけだから。

リアリティはありません。そういう作品ではないんですよ。
この作品は呪いの力や呪縛といった薄気味悪い力によって翻弄された4人の女性を描いているわけです。

そんなリアリティの薄い作品であるにも関わらず、この作品は殺人に至ってゆく心理描写が完ぺきで、不自然さを感じないのと、そこへ至るまでに人間ドラマが悪趣味を極めたものなので、とにかく面白いんです。
美しさすら感じます。

どちらかといえば、ホラー小説のマインドに近いのではないかと思います。

湊かなえの真骨頂「誰かの主観」

湊かなえは、基本的に誰かの一人称によって物語が紡がれてゆきますよね。

「告白」もそうですよね。各章に語り部がいて、彼らの独白だったりで物語が進行します。そういうのが非常に多い。

その手法自体はそれほど珍しいものではなく、よくある技術だとは思います。
そして、この手法は比較的パターン化すれば書きやすいのではないかと思うんですよ。

なので、実ははじめ私はこの手法には抵抗がありました。

いくつかがその手法で描かれるならまだしも、私が読んだものは全てそうやって書かれていて、邪道だ!とか思ってたりもした。

しかし、湊かなえは完璧のこの手法によって飛躍した作家だと思います。

ドラマ版「贖罪」は黒沢清が監督

「贖罪」はwowowでドラマ化されていて、その監督が黒沢清です。

黒沢清は言わずと知れた日本の巨匠監督です。私は特に多くの黒沢映画を見ているという事でもありませんが、いくつかは見ています。

そのどれも、ホラーじみた(もしくはホラー)人間模様を描いたものが多く、贖罪の監督としては本当にピッタリだな、と思いました。

結果的に言えば、やはりこの選択は非常に正しかったと言えるでしょう。

贖罪はドラマ版も非常に面白いので、大変おすすめです。
wowowのドラマは基本的に全5回で、この作品もそのように構成されています。小説版と同じように、一人につき1話で話は進んでいきます。

ただし、最終話は原作とはかなり違っていました。
とにかくこのドラマはキャストも非常によくてかなりおすすめだよ!

「贖罪」のまとめ

というわけで、湊かなえの「贖罪」のレビューでした。
彼女の作品はそうはいっても全部読んでいるわけではありませんので、これからもいろいろ楽しませてもらえそう!

ちなみに湊かなえはご本人のキャラ的にも相当ぶっとんでて面白いひとでした!