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戦争・歴史

戦闘シーンが凄まじい「プライベート・ライアン」の感想と解説!

どうもこんにちは、NITARIです。

昔から好きな映画「プライベート・ライアン」を再見しましたので、レビューを書こうと思います。

「プライベート・ライアン」のあらすじ

「プライベート・ライアン」は、スティーブン・スピルバーグ監督により1998年に公開された戦争映画です。

出演者

  • ジョン・H・ミラー:トム・ハンクス
  • マイケル・ホーヴァス:トム・サイズモア
  • リチャード・ライベン:エドワード・バーンズ
  • ダニエル・ジャクソン:バリー・ペッパー
  • スタンリー・メリッシュ:アダム・ゴールドバーグ
  • エイドリアン・カパーゾ:ヴィン・ディーゼル
  • アーウィン・ウェイド:ジョバンニ・リビシ
  • ティモシー・E・アパム:ジェレミー・デイビス
  • ジェームズ・フランシス・ライアン:マット・デイモン(青年時)ハリソン・ヤング(壮年時)

壮絶なノルマンディ上陸作戦を成功させたアメリカ軍だが、被害も甚大だった。

アイオワ州のライアン家には4人の兄弟がいたが、ノルマンディ上陸作戦を含めた戦闘で同時期に3人が死亡。残る末子も行方不明となっているという。

アメリカ陸軍参謀総長は、彼を捜索しアメリカに呼び戻す、というミッションを、主人公のジョンに指示する。

広大な土地から一人の自分物を探すことの難しさを知りながら、ジョンは部下を引き連れて任務に就く。しかし道中、一人また一人と部下を失ってゆく。

「たった一人の命を救うために、多くの人間が犠牲を払ってもいいのか?」

チームはジレンマに苦しみながら、任務を遂行するのだった。

「プライベート・ライアン」の感想

最大の見せ場「ノルマンディー上陸作戦」

この映画の最大の見どころといえば、なんといっても冒頭の「ノルマンディー上陸作戦」でしょう。

※ノルマンディー上陸作戦とは

第二次世界大戦中の1944年6月6日に連合軍によって行われたドイツ占領下の北西ヨーロッパへの侵攻作戦。最終的に200万人近い兵士が動員された、現在でも最も良く知られる歴史上最大規模の上陸作戦である。

この映画の冒頭シーンに勝る、迫力ある戦闘シーンは後にも先にも見たことがありません。

ノルマンディー上陸作戦は第二次世界大戦における最も有名な上陸作戦ですが、その壮絶さ、凄惨さを素晴らしい描写力で表現しています。

あまりにも残酷で目を背けたくなるようなシーンの連続ですが、混乱の中にも秩序があり、観ていて非常にわかりやすい、というのも特徴です。

このシーンへのスピルバーグの熱の入れようは、さぞかし半端なかった事でしょう。

ちょっと裏話

この映画の冒頭シーンでは、スピルバーグは撮影のシャッタースピードを2~4倍の速度で撮影しています。

通常よりシャッタースピードを上げることで、見てわかると思いますが、動きが小刻みにカタカタしたような感覚になります。

極限に置かれた兵士の異常な精神状態を表現するためだそうです

私はすごく戦争映画が大好きですが、やっぱりこの映画の冒頭は何度見ても面白いですよね。

この後のライアン救出作戦で選出されるメンバーのキャラ付けも非常にきっちりと行っており、いい意味で大変スピルバーグらしい洗練された描写となっています。

「プライベート・ライアン」の構成

プライベート・ライアンは、他のスピルバーグの映画もそうであるように、「ステージ制」となっています。

スピルバーグは基本的に、映画を一つの塊としてみるのではなく、いくつかのシーンを足して一つの作品として構成しているものが非常に多いです。

「一難去ってまた一難」という構成になっているという事です。
まあ要するに、構成がすごく単純なんですよね。ここはスピルバーグの体質によるもので、決していい所とは言えないと思います。

この映画もそういった、非常に単純な作りになっています。

(ちなみに、そうではない作品というのは、いくつかのシーンや内容が同時に連動して構成されるなどの作品です。こっちのほうが本来は難しい)

しかし、スピルバーグの場合はそういった一つ一つのシーンは独立してはいるけど、シーンを作るテクニックがあまりにも圧倒的にうまいというところが、たまらなく大好きな理由です。この映画も、特に前半はそうですね。

しかしこの映画の場合は若干ぶつ切り感を覚えてしまう部分はありました。

「プライベート・ライアン」のテーマについて

この映画はストーリーとしては「ライアン二等兵救出作戦」ですが、映画のテーマとして重要なのは「複数人が一人のために犠牲となってもいいのか?」という点です。

これは特に前半部分では周到に語られていますよね。
捜査部隊のライベンは、かなり早い段階からこの任務に疑問を持っていたし、言ってみればジョンですら「どうなのよ」っていうジレンマを持っています。

で、この「数のジレンマ」に関してはいくつかのシーンで説明されていますよね。

例えば、ライアン達の舞台が人為的ミスで落下し、22人が死んだという話の時にも、「たった一人のために大勢が命を落とした」という事が語られてます。

それから、特に衛生兵のウェイドが死んだシーンは、ほかならぬ主人公のジョンのミスで命を落としたわけですよね。

冒頭のオマハビーチの戦闘シーンをあれほど周到に描写した理由もここに合って、つまりあんなに大量の人がゴミのように死んでゆくのに、たった一人を救うために部隊を作るのとかどうなのよ、というコントラストを表現する目的もあったはずです。

前半ではその「大人数:1人」という主題が、割と哲学的に語られているところはすごくいいかなと思います。

「プライベート・ライアン」の批判すべき点と問題点

「大人数対1人」というテーマの終着点

しかし、最終的にはこの数字のテーマに対する答えは用意されていませんでした。
というか、割と短絡的に、「多くを犠牲にしても一人を救うことは良い事だ」みたいな着地点になっているような気すらします。

それは、最後にホーヴァスがジョンに、

「ここで一緒に戦って、生き残って彼(ライアン)を帰国させる。そしていつか振り返った時に思う。ライアンを救ったことが唯一この戦争での、心の救いだと」

と語らせています。
まあ、要するに「気持ちの問題」ってことで終着しているのでしょうか。

私はこの結論はかなり残念だなと思いました。戦争賛美ともとられかねませんよね。
結局この映画は、最終的には戦争で勇敢に戦った兵士サイコーっていう映画になっているところは、頭が悪そうでちょっと残念ですね。

かなりスピルバーグが好きなだけあって、こういう映画はいただけません。
らしいっちゃらしいけど。

「プライベート・ライアン」の戦闘シーン

この映画はとにかく冒頭のノルマンディー上陸作戦が圧倒的に面白い、というのは前述しました。あまりにも面白いでしょ。このシーンは迫力と言い展開と言いあまりにもすごい。映画史に残るといっても過言ではない。

この映画では何度か大小の戦闘シーンがありますよね。
もちろん、冒頭と同じくらい重要なのは、最後の戦闘シーンです。

このシーンも、スピルバーグはかなりの比重を置いて撮影していることは見て取れます。

しかし、残念ながら3時間近くに渡り戦闘シーンを見続けてきた私にとってはあまり目新しいものがなく、あんまり面白いと思えませんでした。

まず一つの理由が、このシーンは目的が不鮮明なんですよ。

内容としては「橋を守る」というのは分からないことではありませんが、視覚的には冒頭の「岸壁を攻略する」より「橋を守る」ほうが弱いんですよね。

敵味方の位置関係もあまり把握できない状況なので、この戦闘シーン自体の全体像がちょっと理解しづらい。

私は戦争映画も戦闘シーンも、正直な所「娯楽」としてとても好きですが、かといって兵器マニアとかいうわけでもありませんので、このシーンはちょっと面白くなかったです。
テイーガーとかマスタングとか、わりに有名な兵器がいろいろ使われているので、好きな人はすごく好きだと思います。

あと、前半以上に残虐なシーンが盛り込まれていますが、正直オマハビーチの戦闘の後も残虐シーンを見すぎて、ある程度残虐性には慣れてしまっている状態なので、それほどインパクトもありませんでした。

それに、このころになると残酷描写があざとくすら思えてしまいました。

戦争映画に「娯楽性」は必要なのか?

と、ここまで「娯楽的」な視点から面白いの面白くないのと書いてきましたが、そもそも戦争映画に「娯楽性」は必要なのでしょうか?

反戦映画であれば、理屈としては私は「否」と思っています。

色々な反戦映画がありまして、劇映画でも何も直接戦争を描く必要もないと思っているし、いろいろな解釈で戦争映画があればいいなと思うんです。

しかし、そうなるとどっちかといえばもっと哲学的な領域の話になるし、たぶんアートのカテゴリーになる気がします。

「劇映画」で反戦映画を描くのであれば、現実的にはある程度見やすい、わかりやすく面白いという必要はあるのだと理解はしています。

前々から思っていたことですが、私は結構戦争映画が好きですけど、反戦のメッセージがどのように表現されていたとしても、結局は戦闘シーンが面白くて好きなんですよ、大体において。

反戦、とするならばそれってどうなんだろうなーと思っていて、それは一つのジレンマのようにも思っています。

「プライベート・ライアン」の娯楽性

以前「シンドラーのリスト」のレビューの時にも書いたことではありますが、戦争や史実を扱う上での娯楽性はかなり注意して描かないといけないと思っています。

私は「シンドラーのリスト」は好きな作品ではありますが、最後にはシンドラーがいい人だったよねというエピソードばかりが前に出てきてしまった部分に関しては否定的です。

「プライベート・ライアン」は戦争の最前線を描いているので、より娯楽性が見えてしまうというのはあるんですよ。そうなると、より、「どこか遠い国の物語」然としてしまう可能性があるのが、戦争映画です。

その中で、もう少し簡単には説明できないような哲学的な主題でも持ってこない限り、ただ単に「最高に面白い戦争映画」の域を出ない。

「大人数:1人」は実はそういった部分をカバーできるような面白いテーマだと思ったのですが、着地点がかなり適当だったのが残念でした。

「プライベート・ライアン」の役者たち

トム・ハンクスの安定感はさすがです。宛書きしたかのように何一つ問題がない。

ジョンの右腕・ホーヴァス

ここでは部下たちの話をしたいのですが、今回久々に観て私が圧倒的にかっこいいな、と思ったのは、ジョンの右腕・ホーヴァス(トム・サイズモア)でした。

ジョンの事を完璧に信頼して尊敬のまなざしを向ける。異常なほどに忠誠心を持っているホーヴァスは、たぶんジョンが死ねといえば死ぬでしょう。

迷いを見せるジョンと比べて、完全にジョンを信頼しているのでいつもまっすぐで何の躊躇も迷いもない所が素敵♥です。

銃座攻撃作戦の時にジョンに「黙れ」と言われたときは、クソがと思いましたよね。ホーヴァスを何だと思ってるんだよ。

ちなみに私が好みだ、と言うだけでキャラとして素晴らしいという事ではありません(笑)とにかく渋くてかっこよかったという事です。

新人兵士・アパム伍長

アパムはキャラが印象的ですよね。
特に珍しいキャラクターというわけではないんですが、演じる役者がなんとも言えない残念な感じを醸し出していてよかったです。

このキャラは誰も撃ったことがなくて、最後の戦闘シーンでもたくさんの銃弾を抱えたまま逃げ回っていました。まあその辺はありきたりというか、若干鬱陶しいなとも思ったんですが、結局最後に、自分たちが助けたドイツ兵が攻撃陣にいたと分かって一瞬で射殺するシーンは、良かったと思います。

「プライベート・ライアン」のまとめ

結局私としては、まあこの映画にはあんまり反戦的要素はないかなと思ってます。

最後はアメリカの英雄万歳になっているので、果たして最終的にアメリカ人以外でこの映画楽しめる人いんのかよ、くらいですが、内容は面白いので見ても損はないっていうか、上質な戦争映画としてはバッチリおすすめです(ただし、あくまでもやはり前半・特に冒頭です)。

この記事を書くのに映画を流してたんですが、マジでやっぱり前半は何度見ても最高ですわ。