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映画「プラトーン」あらすじ感想&ベトナム戦争についても解説したよ。

どうもこんにちは、NITARIです。

ずいぶん昔に観た「プラトーン」ですが、久々に再見しましたので感想です。

映画「プラトーン」のあらすじ

出演者

  • クリス・テイラー – チャーリー・シーン
  • ボブ・バーンズ2等軍曹 – トム・ベレンジャー
  • ゴードン・エリアス3等軍曹 – ウィレム・デフォー
  • バニー – ケヴィン・ディロン
  • ビッグ・ハロルド – フォレスト・ウィテカー
  • レッド・オニール – ジョン・C・マッギンリー
  • ラー – フランチェスコ・クイン
  • ハリス大尉 – デイル・ダイ
  • ガーター・ラーナー – ジョニー・デップ

1967年の南ベトナム。

アメリカの中流階級の育ちのクリス・テイラーは大学を中退し、志願兵としてベトナムにやってきた。
志願した理由は、少数民族や黒人、貧困層の若者ばかりがアメリカ軍に入隊している現実に疑問を持っていたからだった。

ベトナムでの日々は想像を絶する厳しいものだった。

冷酷な鬼軍曹バーンズと、人間的で優しさを持ったエリアス軍曹とともに戦場を経験していくうちに、テイラーも次第になじんでゆく。

そこには、さまざまな人種が敵を倒すという一つの目標に団結し、分け隔てなく日々を共にする若者たちの社会があった。

しかし、戦争が激しくなるにつれて兵士たちの精神もギリギリの状態となってゆくのだった……

ベトナム戦争の基礎知識

ではここで、そもそも「ベトナム戦争」ってどんな戦争だったのかをざっくり解説していきたいと思います。基本的なことしか書きませんので、不要な方はスクロールしちゃってください。

もともとベトナムは19世紀からフランスの植民地でした。第二次世界大戦は日本軍が進駐していましたが、1945年に日本は敗戦。
ベトナムは戦後も支配を続けたいフランスとの戦争に勝ち、北部に「ベトナム民主共和国」が誕生しました。

この段階でベトナムな南北で真っ二つに分断されます。

南ベトナムはアメリカの支援を受けた「ベトナム共和国」
北ベトナムは「ベトナム民主共和国」で、ソ連からの影響により社会主義体制が築かれていました。

時代は冷戦真っただ中。

もしも北ベトナムが南ベトナムを制覇して社会主義国家が生まれてしまうと、同じようにフランスから独立した東南&中央アジア各国も社会主義国家に飲み込まれてしまうと考え、アメリカはベトナム民主共和国を倒そうと考えたわけです。

それがベトナム戦争の始まりです。

圧倒的な物量を持っているアメリカでしたが、険しいジャングルでの戦闘は困難を極め、戦争は長期化。

その間、アメリカは空中から毒性の強い枯葉剤を散布し、数年後には多くの以上出産が見られました。

ベトナム戦争が激化したのは1964年ころ。
それから10年近く激しい戦闘が繰り広げられ、1973年にはアメリカがベトナムを撤退。1975年に南ベトナムが無条件降伏しました。

ベトナム戦争による死者数は、600万人にも及ぶと言われています。

映画「プラトーン」の感想

改めてベトナム戦争を振り返ってみましたが、今これを打っているだけでも胸糞が悪くなるようなクソ戦争ですよね。

もちろん、すべての戦争はほとんどがクソ戦争ですが、中には部外者が云々できない難しい戦争も存在する中で、ベトナム戦争は大いなるクソ戦争だということをはっきりと言いたい。

ベトナム戦争の再現度の高さが見もの

まあそんなクソ・ベトナム戦争の帰還兵であるオリバー・ストーン監督が描いたかなりガチな戦争映画です。

私は戦争映画が好きなのでいろいろ観ていますが、その中でもオリバー・ストーンのこの作品がことさらガチであると思うのは、当時の不衛生さや環境の厳しさをかなり再現しているのではないかという質感があるからです。

もちろん、私はベトナム戦争に行ったわけではないので、「リアルなんだろうなぁ」という予想にすぎませんが。

実際にアメリカ兵をかなり苦しめたジャングルの険しさの描き方の臨場感は素晴らしいと思います。

正直言って、私が今まで見てきた戦争映画の中でも、最も撮影に苦労したのではないか?と思わせてくれますよね。
やってるふりではなく、本当にやってるからこその臨場感ですね。

映画が製作されたときにはベトナムとアメリカに国交がなかったため、フィリピンで撮影されたようですが、役者もスタッフもマジで大変だっただろうなぁ…と思わずにはいられません。

こんなすさまじい戦闘を繰り広げてきたベトナム戦争。兵士もよほど大変だったでしょう。
その辺がよく伝わってくるのが素晴らしかったと思います。

映画「プラトーン」に登場するキャラクターの濃さ

この作品には、もう一つ重要なポイントがあります。
それは、兵士たちの人間模様です。

さすがベトナム帰還兵というだけあって、アメリカ兵たちの交流や人間模様もしっかりと描いています。

特に注目すべきキャラクターが、トム・べレンジャーが演じた鬼軍曹バーンズと、ウィレム・デフォーが演じた軍曹エリアスの二人でしょう。

顔に傷のあるバーンズは7回銃弾を受けても死ななかったことから、兵士たちの間で「不死身」と言われて恐れられている存在です。

一方、エリアスはとても人間的で優しく正しい。めちゃくちゃかっこいいわけですよね。
この映画は10代の時に観たんですが、デフォー演じるエリアスのカッコよさはよく覚えていました。

この作品はその二人以外にもキャラがうまく描かれているのが特徴です。

それほど登場シーンが多いわけではないですが、フォレスト・ウィテカー演じるハロルドや、ダメ中尉のウォルフなど、キャラが比較的濃かったので、割に覚えていました。

もちろん、主人公のテイラーを演じたチャーリー・シーンも素晴らしいですよね。
初々しい若者だったチャーリーが戦場を経験する中で成長していく演技は見ものでした。

映画「プラトーン」で描かれた人間ドラマ

とはいえ、濃いキャラやドラマ性はこの映画にとって必ずしもいいものだったという風にはいいがたいと思います。

この作品はもともと、オリバー・ストーン自身が経験したことをもとに、「ベトナム戦争の実態を伝える」という目的があったのだと思います。

しかしながらエリアスやチャーリーのヒロイズムは、若干「ベトナム戦争の実態を伝える」という当初の目的からは少し離れてしまったように思いますね。

戦争を描く場合に最も重要なことというのは、戦争にかかわるあらゆることを美化しないことだと思うんですよ。

もちろんエリアスのように、戦争には必ず英雄がいるのだと思う。その事実を否定するつもりはありません。
それと同時に、英雄を描くこと自体を否定する必要もないと思います。

ただ、英雄的な存在に肩入れしてしまう展開が良くない。
今回の場合は、エリアスをテイラーが慕って、最終的に彼と同じように強く正しく生きてゆく、という展開がまずいんですよ。

ここは、もっと突き放した展開にしないと、「エリアスは素晴らしい。立派な人だ」と美化するだけで、戦争の悲惨さを描くということからは離れてしまうように思います。

特にエリアスの死のシーンは不味い。普通、戦争ってあんな風にドラマチックに死ねるものだろうか?
バーンズが彼を撃ち殺してそれで終わりでもよかったんじゃないですかね。

確かにエリアスは終始かっこいいのですが、終始かっこいい、ということで終わってしまっているようで面白くないんですよね。

一方で、トム・べレンジャー演じる鬼軍曹の描き方はよかったです。
初めて見たときは断然エリアスが好きだと思っていたけど、改めて見ると彼は面白いですよね。

確かにただの悪の象徴のようにも見えますが、彼は彼なりに死線を潜り抜けた結果の人格があれなわけで。

きっとこういう軍曹は、ベトナム戦争に限らず戦場には少なからずいるんだろうなと思わせてくれる。
そして、こういう人が民間人を虐殺してしまうのだろうな、と。

もっと言えば、バーンズがエリアスを射殺したエピソード自体も蛇足かも。
せっかく戦争の異常をリアリティを持って描こうとしていただけに、あまりにも二人の人間関係がクローズアップされすぎるのはよくないと思います。

「プラトーン」で感じたいベトナム戦争の悲劇

ここまではなるべく客観的に映画を批評してみました。
ここからは「プラトーン」で描かれているベトナム戦争の悲劇についてお話したいと思います。

「言葉がわからない」ことの悲劇

私自身が思ったこととして、アメリカ人がベトナム語が分からないことから引き起こされたことが悲劇の一端を担っているのではないかということがあります。

アメリカ軍は完全にベトナム人をナメていたので、当然こんな小国には余裕で勝てると思っていたのだろうと思います。
だからこそ、ベトナム兵たちの思わぬ抵抗に、彼らに対して異様な印象を持ったでしょうね。

体も小さく頭も悪そうで貧乏くさいとアメリカ兵には見えていたのに、実は戦争ですさまじい才能を見せてくる。

多分、化け物かなんかに見えたのだろうな、と思います。

「プラトーン」を観ていて印象的なシーンに、村人を追い詰めたバーンズ軍曹が村長と話をするところがあります。

通訳をしているラーナーが、次第に激昂するバーンズの言葉に困惑するというシーン。

この映画で素晴らしいなと思うのは、完全にアメリカ兵視点から描いているので、実際にベトナム人が何を言っているのかがわからないところです。

この場にいる中でラーナーだけが言葉がわかっているので、彼は困惑しているわけです。
つまり、ラーナーにとってはベトナム人は全く得体のしれない存在ではないのだと思います。

世界大戦は国家間で争われた戦争ですが、つまり言葉がお互いに言葉がわからない同志での戦争だったわけですよね。

言葉がわからないというだけで、どれだけ人は混乱して恐れるのか、ということがこのシーンを観ているとよくわかります。

こんな子どもたちを恐れる必要は全然ないのに。何を言っているのか、考えるのかわからないから怖い。その緊迫感がよく出ているシーンでした。

もちろん、内戦など言葉がわかる同志の戦争もあるのですが、言葉がわからない戦争のほうがより大義が見えないような気がして、怖いです。

ベトナム帰還兵の現実

この作品でもう一つ印象的だったのが、途中で退役して帰国するキングです。
彼の退役直前の言葉で、「国に帰ったらもう一生安泰だ」というようなことを言っています。

そしてその後、テイラーと別れを告げるわけです。

この作品では描かれていませんが、ベトナム戦争はアメリカ社会ではかなり厳しい批判を受けていた戦争です。

帰国直後こそねぎらわれ感謝もされたかもしれませんが、彼らを待っていたのはベトナム戦争に参加したことに対する批判でした。

また、帰還兵の多くはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い、後遺症に悩まれてしまった者も多かったといいます。

その事実を知っておくと、この映画でのアメリカ兵の観方もまた変わってくるかもしれません。

まとめ

ということで、映画「プラトーン」の感想と解説でした。

ベトナム戦争を知る、という意味では多くの人に見てもらいたい作品だと思います。
ただ、最上の作品だったかといえば、そうでもなかったように思いました。

最期に、ベトナム戦争の参考になる本や映画を紹介したいと思います。

開高健の名作ルポタージュです。
この作品を含めて、「花終る闇」「夏の闇」の三作品は「闇三部作」と言われている、ベトナム戦争の真実を伝えた作品です。

後半のすさまじい表現の嵐は、誰でも一度は読んでみてほしい作品です。

スタンリー・キューブリック監督作品。
この作品で描かれているのは、ただ戦争の狂気です。独特のユーモアを交えた傑作。見るべし。

ベトナム戦争ものたくさん観ていますが、とりあえずこの辺りにしておきます。
これからまた更新していきますので、ご参考にしてください!