「ペストゥム遺跡(またはパエストゥム遺跡)」は、ナポリから電車で少し離れた郊外にある古代ギリシャの遺跡です。
世界遺産にも登録されている遺跡へ行ってきました。
INDEX
古代ギリシャ遺跡【パエストゥム】
パエストゥム(ペストゥム)遺
世界遺産のペストゥムはナポリから電車で1時間半くらいのところに位置する、古代ギリシャ&古代ローマ遺跡です。
「パエストゥム」というのは、「ポセイドニア」が訛ったもので、ポセイドンというのは、海の神「ポセイドンの町」という意味だそうです。イタリア語では「ペストゥム」という発音が近く、私が持っている「地球の歩き方」でも「ペストゥム」と表記されていました。
もともと作られたのは紀元前550年ごろ、その時はオリュンピアの女神ヘラのために神殿が作られ、その100年ほどあとにポセイドンのために神殿が作られたそう。
みどころはなんといっても古代ギリシャ時代の神殿。
この神殿が建てられたころはまだこのあたりは古代ギリシャの植民地でした。その頃に建てられた遺跡だけど、ここの神殿はものすごく保存状態がいいのが特徴です。
その後この土地も古代ローマに支配されたので、古代ローマの遺跡も残っているわけです。
ナポリからパエストゥムへの行き方
ナポリからパエストゥムへは、電車が便利です。遺跡は、最寄駅からは近いんだけど、本数が非常に限られています。
鉄道の利用方法は下記参照↓
パエストゥムは無人駅です。もちろん券売機はあるんだけど、たまに壊れてることもあるので、あらかじめ往復券を買っておいたほうが無難かも。
ナポリを9時頃に出てペストゥムに着くのが10時半くらい。
で、帰りは否応なしに14時発の電車しかなかった。それ以降だとあまりにも遅すぎるし、それより前だとほとんど見る時間が取れません。
というわけで、滞在時間は否応なしに3時間半ほど。
事前の調べでいえば、そんなに長い間そこにいられるものか?と思ったわけです。
ポンペイですら2時間半で帰ってきてしまった私です。
ましてや、この遺跡は敷地も大きくないし、みどころは2つの巨大神殿だけで、あとはほとんど骨格しか残ってないみたいなんですね。
こんな感じです。

このほかに大きな神殿はありますが、それだけです。
そのうえ、ペストゥムには遺跡以外ほとんど何もないらしい。とのこと。
レストランは少々あるとしても、町がなくて、完全に遺跡都市。
これはちょっと不安だぞ。ということだったわけ。
涼しい季節ならいざ知らず、私の予想ではたぶん1時間くらいで見終わってしまうんじゃないか……という。
最悪、30分くらいで見終わったらどうしよう、という。
しかし実際は完全なる杞憂で終わりました。
世界遺産・ペストゥム遺跡へ

車内から見たヴェスヴィオス火山。
ナポリからの車内はかなりの混雑でした。
ナポリからはそこそこ空いてたんだけど、海岸に近いところを走るのでどんどん旅行者であふれてきた。正直うんざり。
まあ、日曜なので仕方がない。
ペストゥム駅にやっと到着。

表記は古代ギリシャ文字なのだろうか。(そんなものがあるのかは不明)
日曜だけあって、多少の人がおりていました。
目の前の道を直進しますと、すぐに外壁の門があります。

この城壁が敷地をぐるりと囲っています。

古代ローマの遺跡とは材質とか石の組み方が違うんですね。
すごく新鮮です。

門を入ってもすぐに遺跡があるわけじゃないんですね。
大体15分くらい直進します。
横を見ると、何もないんですね、本当に(笑)

気持ちのいい土地ではあります。
さて、突き当りにはもう遺跡です。
入場券を買おうとチケットオフィスに行ったら、なぜかこの日は無料だったんですね。
前にオスティアに行ったときも無料だったけど、それは第1日曜日だったからで、この日はどうして無料だったのかいまだに謎ですね。
ローマもナポリも、大体無料になるとしたら第1日曜日って感じがするんだけど。
とにかく、無料でラッキーでした。
古代ギリシャ遺跡【ペストゥム】見学
さて、入場するともう、というか入場する前から見えている、それが、私の最も見たいものでした。

これがペストゥムの巨大神殿です。
とにかくこれが見たかったんです。
写真では何度も観てたんだけど、実際に見てみるとその大きさといい存在感といい、なんとも異様な感じがしました。
特に、周りに何もないものだから、とにかく突如として視界に現れるわけですよね。
例えるなら、何かしらの巨大な生物のような感じがしました。
ネプチューン神殿(ポセイドン神殿)

一番状態の良い、ネプチューン神殿。
この場で急に二つの神殿が膨らんできたような感じっていうんですかね、そういう圧迫感なんです。
とにかく圧巻というしかない。

紀元前5世紀にできた神殿とは本当に思えない。
私はギリシャ建築とローマ建築の違いとかよくわからないんだけど、パンテオンなどと比べると柱がすごく太くて多いんですね。

で、この柱が、パンテオンはほとんどまっすぐなのに対して、この神殿の柱は下に行くにつれてちょっと太くなってます。

この神殿、というかギリシャ建築自体は古代ローマの建築より古いので、当たり前ですが技術も劣っています。
ていうか古代ローマのほうはギリシャ建築とかエトルリア建築とかの様式をうまく取り入れて、まあ要はパクッて優れたものを作ったりできたわけですよね。
で、パンテオンなんかで観られるように細くてまっすぐでも頑丈な柱を作る技術があったってことなんだと思います。
コンクリートの技術とかもあったので。
言い方はものすごく変なんだけど、だからペストゥムの遺跡は何となく、柔らかそうな感じがしますわ(笑)
まあちょっと生き物みたいッていう感じも例えると、王蟲的な印象ですかね。
とにかく今までに見たことのないほど面白いってことです。
バジリカ

これはバジリカの中を撮ったもの。
よく見ると、柱は直線に裾野が広がってるのじゃなくて、やんわりと丸みを帯びてカーブしているように見えますね。
膨らんでる感じで、きれいですね~
そしてこの中央にある円盤みたいなやつはなんだろう??

完全に正体不明だった。
面白すぎる。
さて、私が懸念した「見どころが少ないんじゃないか」ということですけど、要するにこの神殿以外はほぼ平地に見えたんですね。

これもしかして1時間かからずに見終わるんじゃね??と思うのも無理ないでしょ。
でも実際はよくよく見てみると見どころが満載で、他の部分もかなーり面白かったわけです!

これは一体なんだろう??
プール的なやつかな?

水とかがここから流されてそう。
面白い装置ですね。

モザイクみたいなやつ。
古代ローマのとはずいぶん違う模様だよね。

これもまた謎なものが出てきました。

この部分は一体なんぞや??
ちなみに、ガイドブックには詳しい説明までは乗ってません。
要所要所に看板はあるんだけど、読めばよかったな。
向こう側から見るとこんな感じ。

なんだか知らないがとにかく面白いということだけは確か。

遺跡に佇む神殿が、はっきり言って最高すぎる。
地下神殿

これは、地下神殿と呼ばれているもので、紀元前6世紀(!)に建てられたらしいんだけど、用途不明なんだって。
ちなみに、向こう側にも特に入口とかはない。

円形劇場の入り口。

ちなみに、もともとは円形の劇場だったらしいんだけど半分はつぶれちゃってて、遺跡敷地外の道になってます。
そこから撮ったのがこれ。

これなども完全に用途不明なのだが↓

ローマの遺跡ばかりを見ていた私にとっては、この石造りがとにかく新鮮でかっこよかった。
そしてゴミみたいにその白くてごつごつした石が転がってる感じも素敵すぎる。

これは確かフォロの神殿か何かだったと思います。素晴らしいですよね。ああ、楽しい。
さて、これで大方遺跡のほうは見終わりました。
この時点で、12時前。
1時間半ほどこの遺跡を探索していたことになります。
いい感じの時間ですね。
この隣にはあまり大きくはないけど考古学博物館があってそれを見たらランチをして帰るので時間ぴったりだな、という感じでした。
次のページで考古学博物館とランチ情報です!
パエストゥム遺跡隣接の考古学博物館
パエストゥムには、隣接した考古学博物館があります。
チケットはパエストゥム遺跡と共通券です。
私が行ったときにはなぜかパエストゥム遺跡も考古学博物館も無料で、考古学博物館の特別展だけ1ユーロの有料でした。
こちらが建物です。

結構大きいんですね。
今まで訪れた、遺跡隣接の考古学博物館は基本的にショボいものが多かったんだけど、ここは結構大きかったです。
ものすごく大きいわけではないんだけど、充実していました。

パエストゥムから出土した品が並んでるんだけど、紀元前のものなのにこんなに完璧に出てくるものなのか。
びっくりしました。

壺がものすごく大量にあります。
ナポリの考古学博物館などでは石膏像的なのにあまり興味がなかったんだけど、どうも私は陶器の類はすごく好きみたいです。
ものすごく面白いね。
デザインが美しいからというのもあるかもしれない。

遺跡同様、圧巻としか言いようがないですね。
しかし、私を何よりも深く感動させてくれたのはこのような壺たちではありません。
なんと言っても、なんと言っても壁画です。
なんと言っても壁画です!!!!

ローマの壁画には、モザイク画以外ほとんど興味がわかなかった私ですが、古代ギリシャの壁画はあまりにも面白くて、感動の上の感動!!!!

デザインがいいんですねっっ!!!
それで思ったんだけど、正直言って古代ローマの壁画はデザインがあんまりおもしろくないんですよね。

あくまでも、私個人の主観での話ですよ。
古代ローマの絵があんまりおもしろくないんだよね。
そこへきてパエストゥムの壁画は!!!

かわいい・おもしろい・美しい!!!
右上の悪魔みたいなやつの顔、なんでそーなったwwww

とにかく面白い。
とにかく、大好きです。

手前の、馬みたいなやつ見事じゃないですか?
またこれが(笑)↓↓

なんか絶妙に腹立つ顔なんですねwww
なんてかわいいんだ。すてきだ。

いつまででも見ていられそう。
そして、この壁画たちの中で最も異彩を放っていたのが、「飛び込み男の墓」です。

この、中央にある絵です。

ガイドブックにもピックアップされていて、たくさんのグッズにもなってました。
一番有名な壁画です。
で、今気づいたんですけどこの壁画はお墓だったらしいですね。
それぞれの石板が組み立つと箱になるんですね。

絵は内側になってました。
いやあ、本当に面白かった!
それでも電車の時間があるので、まあそこそこにして帰ってきたけど、正直もう少しいろと言われれば居れる。
むしろ時間が足りないくらいだったわ。
パエストゥムでのおすすめのレストラン(ピッツェリア)
ピッツェリアdelle Rose
ではここで、パエストゥムを訪れたら必ず行ってほしい、あまりにもおススメのピッツェリアをご紹介します。
遺跡の付近にはレストランが点在しているので、食べるものに困るほどではないと思います。私が行ったときには事前に調べたりもせずに、駅から遺跡へ来たところの角に一番目立つピッツェリアに入りました。
今回は少しくらいいろいろ食べてみようかな~と思いまして、前菜のサラダとピッツァマリナーラを注文しました。
少しくらい多くても残しちゃってもまあいいかと思って。
何やらこのあたりはモッツァレラチーズが有名っていうことだったので、「モッツァレラチーズのサラダがいいんだけど」って言ったら、出てきたのこれだったのですね。

えwwww
でかいんだけどwwwwwww
とにかくでかかった。
しかもピザも2切れ乗ってたので、完全にこれ一つでよかった感。
しかしですね、これはおいしかったんですね。
おいしかった。とにかく。
はっきり言って、この旅行でナンバー1のおいしさでした。
しかも、圧倒的にね。
あまりにも素晴らしかったので、わかる範囲ですべて説明しようと思います。

①ズッキーニのピッツァ
これはズッキーニをオリーブオイルでシンプルに炒めて、焼いた後のピッツァ生地に載せて後から塩をまぶしたものです。
私はオリーブオイルが本来特に好きではないんだけど、ものすごくフローラルでおいしいオリーブオイルでした。
さらに上からかかってる塩が最高においしかったんですね。甘味があって最高にまろやかなお塩で、そのまま食べられそうだった。
②さやいんげんのマリネ
製法はちょっとわからないんだけど、たぶん茹でてからレモンとオリーブオイルとでマリネったのかな?
③ナスのトマトソース煮
ナスをスライスしてオリーブオイルとニンニクで火を通した後にトマトソースで煮込んだって感じのもの。絶品。
④トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ
これはいわゆるカプレーゼだけど、バジルは乗っていない。
特産品だけあって、モッツァレラチーズが絶品!!
⑤神
これだけは、神と呼ばせてもらいたい。それくらいおいしい。
多分、ズッキーニを薄くスライスして、オリーブオイルで炒めますよね。
そして、茹でジャガイモを形を残す程度にマッシュして、ズッキーニとバジルか何かの香味野菜や塩コショウと和えたものだと思うんですね。
とにかく信じられないほどにおいしいかった。
⑥ナスのリコッタリーズグラタン
ナスの上にリコッタチーズをのせて、塩コショウとオリーブオイルをかけてオーブン焼きしたものだと思います。
本当にリコッタチーズなのかは不明。多分現地の牛から取った上質なものなんだろうね。かなりあっさりしてて、豆腐っぽい感じなんだけど、おいしい。
しかし、それでもこの中では少しこってりしていました。
やっぱ私はチーズが苦手なのかな。
⑦ズッキーニのマリネ?
②のさやいんげんと味付けは似てるんだけど、とにかく絶品においしい。
ズッキーニは焼いてなくて、茹でてからマリネしているみたいだったね。
⑧パプリカのラタトゥイユ
これはいわゆるラタトゥイユ。ただし、使っている野菜は赤&黄色のパプリカだけ。
かなりおいしいけど、いわゆる記憶通りのラタトゥイユ。
とまあ、こんな感じです。
この中でも特に美味しかったのは、⑤の「神」です。
本当に信じられないほどおいしくて、再現したいけど複雑な味なのでできないと思う。残念だわ~
さて、これらがあまりにもおいしくて量もたっぷり!
でもまあ、そのあとに出てきたんですよね、マリナーラ(笑)

マリナーラっていうのは前日に初めて食べたんだけど(後で食レポはまとめてしようと思ってます)、トマトソースとオリーブオイルとオレガノとにんにくだけのシンプルなピッツァで、元祖ピッツァって言われています。
ナポリはピッツァが有名だけど、トマトソースとモッツァレラチーズとバジルの、日本でも有名な「マルガリータ」とこの「マリナーラ」の二択です。
いろんな種類あるけど、この生粋のナポリターノはこの二拓だそう。
で、私もそれにならって前日にマリナーラを食べたらおいしくて、まさかの2日連続っていうww
まあ食べきれなかったけど、当然。
そしたらお店の女の子が、テイクアウト用の箱に入れてくれました。
電車の棚に置き忘れて帰っちゃったけど……
さて、以上がペストゥム遺跡の見学レポートでした。

帰り道。
世界遺産ギリシャ遺跡「ペストゥム」感想
とにかく楽しかったです。素晴らしいです。
もし、これを読んでる人が行こうか悩んでるんだったら、必ず行けと言いたい。
それくらいに素晴らしいものがあります。
そして、これを書いていた確信したことなんだけど、やっぱり私にとって遺跡って、別に保存状態とか関係ないんだな~と思いました。
ポンペイ・エルコラーノと訪れましたけど、特にエルコラーノ遺跡では、遺跡に飽きちゃったのかと思ってたけど、違うんですよね。
エルコラーノみたいな保存状態の良い遺跡が見たかったわけじゃないんだと、改めて思いました。
そしてこの日、私は思うんです。
「次は、ギリシャだな」と……(笑)。
こんだけローマ遺跡をみた今、次に私が向かうべきはギリシャであると。
まあ、それは半分冗談で、今これを書いている段階(この日より2週間後)では、今後も欧州にちりばめられた古代ローマ遺跡を見て回りたいな、と思っていますが。
とにかく、ギリシャはマジで半端ない、ということだけは確かです。
もちろん、いずれ訪れることになるでしょう。
ギリシャ&ギリシャ周辺のギリシャ遺跡には。
本当に素晴らしくて、行ってよかったなと思いました。