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人間ドラマ・社会派

【ムーンライト】感想・静かなる傑作映画だった

すっごい考えながら観たんですけど、いい映画だったと思います。

あまりにも静かな映画なのにあまりにも大量にテーマが隠されているので、どう考えたらいいのかとても難しいですね。

映画「ムーンライト」のあらすじ

映画「ムーンライト」は2016年にアメリカで制作され、翌年のアカデミー賞で作品賞を獲得しました。

出演者

  • シャロン (Chiron) 
    大人のシャロン / 「ブラック」 – トレヴァンテ・ローズ
    ティーンエイジャーのシャロン – アシュトン・サンダース
    子どものシャロン / 「リトル」 – アレックス・ヒバート
  • ケヴィン (Kevin) 
    大人のケヴィン – アンドレ・ホランド
    ティーンエイジャーのケヴィン – ジャレル・ジェローム
    子どものケヴィン – ジェイデン・パイナー
  • ポーラ – ナオミ・ハリス
  • テレサ – ジャネール・モネイ
  • フアン – マハーシャラ・アリ

映画「ムーンライト」シャロンの少年時代

シャロンは、「リトル」と呼ばれている、恥ずかしがり屋の少年だ。
そんな彼は、ある日いじめられて隠れているところを麻薬の売人であるフアンに見つけられ、そこから彼と親しくなる。

引っ込み思案のシャロンには友人はケヴィン一人しかいない。
シャロンはだんだんフアンと仲良くなり、長い時間を共に過ごすようになるが・・・

映画「ムーンライト」シャロンのティーン時代

高校生になったシャロンは、相変わらずケヴィンと仲良くしているものの、やはり周りからは虐められて過ごしていた。

母のポーラは麻薬に溺れ、薬代を稼ぐために売春婦に。
昔仲のよかったフアンはすでに亡くなってしまったが、彼の元恋人のテレサは彼に食事の世話などを未だにしていた。

ある日、シャロンはケヴィンが女性とセックスしている夢を見る。別の夜、彼はケヴィンを訪れて、二人は海辺でキスをするが・・・

映画「ムーンライト」シャロンの大人時代

大人になったシャロンは「ブラック」という名で麻薬の売人をしていた。
ある日、昔の友人ケヴィンから電話があり、彼の働いている食堂に来てほしいと誘われる。

そして、高校時代の事件について謝罪したいと伝えたのだった・・・

映画「ムーンライト」のネタバレ感想

映画「ムーンライト」のテーマ

人種問題LGBTに真っ向から立ち向かっている映画を観る場合一番慎重にならなければならないのが、自分がどういう立ち位置でこのような映画と対峙するべきかを考えることです。

どれだけリベラルな立ち位置に立って映画を俯瞰できるのかが勝負。
ちょっとでも偏った見方を、私自身は絶対にしたくないから慎重になるわけです。

このようなテーマの映画はかなりたくさん見ているし、そうは言っても自分の意見を言うのが難しいな、という映画はそれほどありません。大体はシンプルに作られているので、迷ってしまうことはそれほどないわけです。

しかしながら、この「ムーンライト」は解釈が難しかったですね。
話はすっごくシンプルですけどね。

私がこの映画に対してコメントしづらい理由は、私が「黒人しか出ていない映画」に対して反感があるからなんですよね。

人種差別問題を扱った作品を作るときに、黒人だけを描くのではかえって人種差別や分断に加担していることになるのではないか?と思ったのです。

しかし、この映画はほとんど全員黒人しか出ていません。白人はエキストラくらいです。

だから、私はこの映画が逆に人種差別的映画なのではないか?と思うべきかもしれないと思ったりするわけです。

しかし、一概にそうとも言えない。この作品は、人種差別を重点的に描いた作品というわけではないんですよ。

もちろん、シャロンが後々陥ってゆく運命や、社会にどれだけ虐げられているか、厳しい生活を余儀なくされているかという事は語られてはいますが、それが作品の核だというわけではありません。

この映画の素晴らしい所はそこです。

この映画は、「アメリカに実際にある黒人コミュニティーに暮らす少年の、めっちゃ長いスパンでの恋の物語」なんですね。

「人種差別」や「セクシャルマイノリティ」という事をくどくどと説明しているわけではなくて、ただただひたすらに恋愛映画なのです。

これは、非常に素晴らしい事です。
マイノリティを扱った作品は、必ず説教臭くならなきゃいけない、という事ではないという映画です。

マイノリティがただ人を愛するという映画だってあってもいいんです。

映画「ムーンライト」が描くマイノリティ

さて、じゃあLGBT映画としてみたらどうでしょう。

これも同じかもしれません。
この映画は別にLGBT映画という仮面をかぶってもいないような気がします。LGBTであることで、この主人公はいじめられているということにはまあなってるんですけど、別にこの子はLGBTでなくとも親の事とかでいじめにあったりしそうです。

やはりここでも、見返りのない片思いに苦しむ少年としての描かれ方に徹していて美しい。

結局この映画は、黒人だけを扱っていて、ゲイを扱っているけど、彼らが苦しんでいることは「黒人であること」でも「ゲイ」であることでもなく、おそらく漠然とマイノリティとして生きること、なのかも知れません。

役者のすばらしさについて

主人公の3人のシャロン役も素晴らしいですし、当然というかやっぱりというかマハーシャラ・アリには参った。まいりまくった。

そしてマハーシャラが案外一瞬で死んだ人になってしまうのもめっちゃ焦った。

「えっこれ以降出てこないの??」ていうね。
そして、回想シーンとかですら出てこない。凄まじい潔さでしたね。衝撃。

シャロン役の3人素晴らしかったけど、私はもう圧倒的に10代のシャロン役のアシュトン・サンダースがよかったです。

How ‘Moonlight’ Beat the Odds to Reach Theaters In African-American Neighborhoods

めちゃくちゃかっこいいんですよ~。
イケメンなんです!

最初は、少年時代のシャロンがあまりにもかわいかったので、アシュトン出てきて「え、ブサイクじゃね」とか思ってすいませんでした。

いやあ、素晴らしい味のある役者で、線も細くてむちゃくちゃキレイ!!もうあまりにも美しいんですよ~

そして彼は地味に、綾野剛に似ていた。

まあとにかくですね、そんな感じで盛り上がってるうちに大事件が起きて、あっという間に彼とはおさらばして約10年後になります。

10年後のシャロン

そいうわけでアシュトンに惚れ惚れしていた私にとっては、10年後のシャロンのマッチョさは事件だと思いました。

ホントでかい。どうしたのっていうくらいでかい。正直、華奢で美貌のティーンシャロンからすると全くの別人。(好みではない)

しかしながら、この映画の素晴らしいのはあまりにも、圧倒的に素晴らしいのは、この第3章の、レストランのシーンなんですよ。

でかいシャロンでかいのにめっちゃ繊細なあの瞳だけは残っていましたね……
それがあまりにも素敵でした。

本当にね、あの恋人も凄くいいやつなんですね。私が何とも言えず胸が熱くなったのは、シャロンが自分の職業を彼に告白するところですね。そこで彼は、あからさまにがっかりした顔をするんです。

だけど、彼は席を立っては戻ってきて、ずっとシャロンと話をするわけです。そのシーンが正直すごく長いんですけど、もう素晴らしいの極致。最高に感動的でした。

というわけで、この映画は本当に素晴らしかったと思う。

映画「ムーンライト」の2つの問題点

問題点①カメラワークの癖

気になるところがあるとすれば、一つにはカメラワークがすごく気になる。
よくいるんですけど、とにかくカメラを据え置かないで手持ちカメラを使ってドキュメンタリータッチにしたいのか、ぶんぶん振り回す人がいるんですよね。

始めこの映画、ほんとにそれが気になりました。マジで。

ぶんぶんぶんぶんぶんぶんカメラ振り回してんじゃないよ!!!!怒
って第1章くらいまでは思ってたんだけど、途中から全然気にならなくなりましたね。

ぶんぶんを辞めたのか、それ以上に魅力的な展開になりつつあったのか。

実際、私は第1章はあまり魅力を感じませんでした。
マハーシャラがいなければ見るのをやめて帰って来たかったくらいです。

まあこの映画は途中から気にならなくなりましたけど、とにかくそういう映画は本当に多いので、勘弁してほしいところです。

ドキュメンタリータッチにしたい狙いはわかりますが、あざとくならない程度に抑えてほしい所ですよね。

問題点②いじめっ子の描き方

それから、いじめっ子のレゲエ野郎の描き方ですけど、彼は単純な悪役になってしまってましたね。それは残念です。
ああいう役は、ほんの少しでも彼の人となりというか人間性(いいところ)を描いた方が、もっとずっと悲しくてやりきれない作品になったのだと思います。

ただの悪役だとね、ただ単に悪い奴ってなるのはね、そういう人って実世界にあんまりいないですから。

それぞれがそれぞれにいろいろあるし、例えばいじめられた人が大人になって、そのいじめっ子の事を単純な悪だと認識することってそんなにないと思うんですよね。
どんなに悪くても。

そして、そんな風に誰かを恨まないためにも、もう少し詳細な描写がほしかったところです。

まとめ

しかしながら、はじめは捉えるのが難しかった本作ですが、結果的にはすごく良かったな、というところで収まりました。

いろんな人にオススメしたい映画です。

あとアシュトン・サンダースがかっこよかった。←しつこい