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【難解映画メメント考察編】謎は全て解けた!ネタバレ解説するよ。

超難解と言われる映画「メメント」。

この映画の全貌を知るべく、前回の記事では物語を時系列順に並び替え、さらに矛盾点と疑問点を指摘してきました。

今回はその「考察編」として、前の記事に挙げた疑問点に回答すべく解説してゆきます。

この記事は前の「【難解映画メメントあらすじ時系列編】」に挙げた矛盾点への回答の記事になりますので、まずはそちらの記事をご覧いただければと思います。

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余談ですが、ここまで書くのめっちゃ大変でした。
15000文字ですよ。10時間くらいかかっている。これから考察である。

正直辛い。めんどい。
レナードが誰を殺したろうが、もうここまでくると完全にどうでもいい。

でもまあ、せっかくここまで考えたんだから頑張って続けたいと思います。

映画「メメント」の制作者側の意図と意味

※人名がややこしいので、マークを付けました。

テディは眼鏡をかけているので👓を表示します。
ジミーはナタリーの恋人なので♥を表示しています。。
サミーは注射エピソードなので💉を表示しています。
ドッドは麻薬の売人なので💊を表示しています。

この複雑怪奇な作品をそもそも制作者側はどのような発想と意図で作り上げたのでしょうか?

この映画を改めてみて、いろいろな解釈の記事を読みましたが、その切り口から話をしている人はいませんでした。

私は昔映画制作を目指していたことがありまして、今でも内容でわかりづらかった場合は制作者側の意図から推測することがあります。

この映画はあまりにも複雑です。
あまりにもよくわからないので、とにかくそもそも「どういうつもりで作ったのか?」という視点からこの映画を考察してみたいと思います。

ただし、映画を純粋に楽しむという方向性から行けばかなり邪道だし、夢もへったくれもありませんので、あまりこの解説は気に入らないかもしれません。

ちなみに、私は映画本編を見たのみで、監督のインタビューなどを読んだりしたわけではありませんので、推測の域を出ません。

映画「メメント」の着想

この映画は「10分間で記憶をなくす主人公を逆回転で描いていったら面白そう・・・」というのが一番初めの着想かと思われます。それがなきゃこの映画は成り立ちませんから。

その構成を成り立たせるためにかなりいろいろな工夫をしています。
その中で最も苦心したんじゃないかな、というのは、「逆回転と生回転を同時に構成する」という点。

ストーリーラインの一番初め(白黒シーン)と一番終わり(カラーシーン)を、ファーストシーンに持ってくるという斬新な手法です。

この構成はとにかく信じられないほど難しいですよ。
だってストーリーのいちばん最後に、物語の設定を登場人物によって説明させなければならないんです。

しかも、おそらく制作者側が最も注意した点は、「この映画を生回転で(時系列順)に再生しても話が通じなければならない」という点です。

実際に私が今日、すべてを時系列順に観てみましたが、それでも(面白い面白くないは別として)かなり完成されていました。一見すると、特に矛盾点は無いように思われます。
「メメント」のDVDでは得点として、「時系列順バージョンの映像」があると言います。しかし、それを見た人はやはり「別に時系列順に観ても面白くない」と言っています。

まあ、確かにこの映画は逆回転の構成だから面白いのであって、生回転で面白いわけありません。
しかし実際は生回転でもほぼ全く違和感がなかったという事になりますので、これは驚異的な構成力ではないかと私は思います。

ただし、そうはいっても矛盾はかなり多くありますよね。
私が時系列順解説で注釈に書いた点などです。かなり矛盾点が多く存在します。

私はこの映画の疑問点を時系列順に追っていくうえで、「一見すると完成されているように見えるけど、実は穴だらけで理論は破綻しているのではないか」とすら思いました。

しかし最終的な結論でいえば、話は完全に通っているな、と思います。

映画「メメント」の結論と考察

というわけで、ここまで10時間以上書き続けて疲れ果てた私は、いろいろすっ飛ばしていきなり結論から書こうと思います。

しかし、あんまり映画として素敵な解釈ではないので、注意してください。

私は、レナードは記憶障害で精神病院に入院している患者だと思います。

【メメント考察①】数ある記憶の矛盾点

今まで書いたように、この映画の矛盾点は探せば山のように出てきますよね。
レナードの記憶障害は、本当に彼の言っている通りに10分で全てを忘れてしまうというものなのでしょうか?

それにしてはおかしいと思います。それにしては、覚えていることがあまりにも多いんですよ。あまりにもいろいろ覚えているんです。

本当に10分間で記憶がすべて消えてしまうのであれば、寝て起きた時には妻が前日にレイプされた、という事しか記憶にないはずです。しかし、実際にはそれ以外にもたくさん覚えていることがありますよね。

妻が死んでいることや殺したレイプ犯を捕まえたいと感じたりすることです。

それ以外にも山のように、記憶に関しては矛盾点があります。車の場所を覚えていたり、部屋の番号を覚えていたり。

モーテルのフロントに電話をかけて、自分の部屋が「21号室のレナードだ」と即座に名乗っているシーンがありますよね。電話を繋がないように伝える白黒のシーンです。

そのシーンではあまりにも瞬時に自分の部屋番号を言っているので、私は電話に部屋番号が書いてあるのかな、と思ったのですが、すぐ後のシーンでわざわざ電話の「ROOM」のところが空欄になっているのがしっかりとカメラに映っています。

「メメント」の電話

これは、明らかに意図的に「レナードの記憶があいまいだ」という事を表しているのです。

それから、レナードは本来は、妻がレイプされた時に殴られたショックで記憶障害になったと言っていますよね。

しかし、彼はその後、自分の妻を自分の記憶障害によって死なせたことを、サミー💉が起こした出来事としてすり替えて記憶しています。

おかしいですよね。
本来10分しか記憶が持たないはずなので、「自分の過失で妻を死なせた」事を記憶しているはずもなければ、それをわざわざサミー💉の出来事とすり替えることなどできないはずです。

この矛盾に対して一般的な解釈としては、「強く印象に残っていることは記憶される」とすることが多いようです。

しかし、彼は車の場所を覚えているし、何よりも自分の部屋番号をしっかり覚えていました。

ここからわかるのは、「記憶障害に明かな矛盾がある」という事です。

【メメント考察②】レナードとサミーの関係の謎

さてここで、私が彼が精神病院にいると確信した理由を書こうと思います。

レナードが電話の相手に語った、サミー💉の話のオチを思い出してください。
その時、レナードは「サミー💉は現在、妻が死んだことも知らずに精神病院にいる」というような事を言っていますよね。

当たり前ですよね、サミー💉は自分の精神疾患のせいで妻を死なせたんですから、精神病院に入るのは当たり前です。
そこに矛盾を感じた人はいなかったと思います。

しかし、考えてみてください。
実はサミー💉という人物は存在しません。人としてはいますが、ただの顧客の詐欺師です。

実際は、妻を死なせてしまったのは、何度も言いますがレナード自身です。

という事は、精神病院にいるのはレナードです。サミー💉ではありません。

実際、精神科にいるサミー💉の映像に一瞬だけレナードがフラッシュバックしています。

精神病院のレナード

このフラッシュバックを、単にサミー💉はレナードと同じ症状だという事を示唆する物だ、というのは安直な解釈です。

人を一人殺していたら、当然、障害が治るまで精神病院に入れられるのが筋でしょう。

実際にテディ👓が言うようにレナードが彼を死なせてしまったのに、その精神疾患が治癒しないまま外を出歩くことができると思いますか?

【メメント考察③】電話の相手は?

ここまで考えたら、電話の相手も簡単に割り出すことができます。

そもそも、電話が嫌いなレナードがここまで長々と話をすることはおかしいですよね。しかも、一旦電話を切っておきながらコールバックしても、続きから正確に話ができるのはおかしいと私は思います。

大体、電話の相手は誰でしょうか?テディ👓?警察?

どっちにしてもどうしてこんなにくどくどと、しかもたぶん聞いた話を何度も何度もまた聞いているのか?

ここはカウンセラーか医師だと考えるのが自然ではないでしょうか。

どう考えても彼の、電話の相手との話ぶりはカウンセラー、もしくは医師に対するそれとしか、私には思えませんでした。

彼は完全に記憶が混乱していますので、電話で話しているような気になったのかもしれないし、そもそも健忘症が10分単位で起こるという事も事実かどうかは分からない話ですよね。

【メメント考察④】I’VE DONE ITのタトゥー

さてここで、ファンにとっては面白くない解釈をもう一つ披露したいと思います。

かなり話題になっている、映画の最終盤でフラッシュバックされる「I’VE DONE IT(俺はやり遂げた)のタトゥー」の存在です。

I'VE DONE IT

これはかなり頭を悩ませますよね。
だってそもそも、妻が生きているのに胸には「JOHN G RAPED AND MURDERED~」のタトゥーが入っていて、しかも胸には、現在はない「I’VE DONE IT(俺はやり遂げた)」のタトゥーが入っているんですよ。

全くどういうことだ!?

世の中のメメントファンが今でも頭を抱える問題ですし、私もこのタトゥーに関してはかなり悩みました。で、結果いろんな解釈を読んだりもしましたが、そういう自分の行動を顧みて、はっと気づきましたよ。

ああ、そうやって謎を作ってそれを観客に吹っ掛けたんだなあと。

何も制作者がすべての謎に答えを用意しなければいけない法律なんかないですからね。
あのカットによって後世にも語り継がれる謎を演出したかったのかなと思いました。
なんてつまらない解釈。すいません。

ただ、私の言う「入院患者」説が正しいのであれば、これはもう当然筋は通ってるんですよ。レナードの妄想なんだから、なんでもありなんですよね。

私が「夢のないラスト」とさっきから言っているのは、要するにそういう事です。
制作者側でもどうにもならない矛盾点のある設定で何とか物語を成立させるには、「夢オチ」みたいなどうにも解釈できるオチを用意しなければ成り立たなかったのだと思います。

批判しているわけではありません。
むしろ、ここまで時間をかけてじっくり脚本を解体しても、ここまでぼろの出ない作品も珍しいと思うくらいです。

それは、脚本上のやむを得ない矛盾を敢えて隠すかのように、わざと他にもいくつかの矛盾を作っているからです。

「謎」を「謎」で隠しているんですよ。

ここまでは私が出した結論です。

「メメント」で推測される事

妻は存在していたのか?

ここまでで、この映画がほとんどすべてレナードの妄想だという考察をお伝えしてきました。
という事は、そもそもこの映画の基本が崩れていてもおかしくありません。

ここからは私の推測の域を出ない解釈を書いていきたいと思います。

そもそも、レナードの妻が存在していたのか?という点です。
だってすべてが妄想だとしたら妻も事件も妄想であると考えても矛盾はないわけです。

ここには明確な答えはありません。
しかし、私はレナードの妻は存在したと思います。

ナタリーの存在からそれは推測できます。

ナタリーは、レナードの事を陥れようとする一面を持っていますが、恋人を失ったことでレナードは彼女に共感し、彼女を助けようとしますよね。

ここに、自分が殺してしまった妻への懺悔の気持ちがあるのではないかな、と思うんです。
ナタリーと妻は、顔は似ていませんが髪型は似ているし、夜に二人で寝ているときの体勢は、「I’VE DONE IT」の様子とすごく似ています。

彼女を助けることで自分が救われたい、という事だったのではないかと思います。
が、これも解釈の一つにすぎません。たぶん制作者側は答えを示唆させてはいますが明確な答えは用意していないでしょう。

「メメント」におけるテディ👓の存在

テディ👓は、「悪徳警官」と解釈されていることが多いようですが、私は全くのだと思っています。

テディ👓が「お金目当て」だとしたら20万ドルをとっくに奪って消えているはずだからです。しかし彼は何度も何度もレナードに付き合っています。お金目当てではありません。

私の解釈でいうと、テディ👓もレナードの創作です。彼はテディ👓をそこまでの悪人には設定していません。何とか助けようとしてくれるのは本当の事です。

ただ、彼のキャラクターがブレブレなのはとても不自然です。
特に気持ち悪いのは、タトゥーショップの場面。彼が「悪徳警官」の存在をほのめかし、レナードに逃げるように促すシーンです。
あのシーンで彼がレナードに行っているのは、白黒のシーンでのテディ👓の描写そのもののように思えます。

これらの矛盾は、テディ👓のキャラクターがレナードの創作であることを示唆するためにあえてブレさせているのかな、と思います。それくらい明らかな矛盾です。

「メメント」の本当のストーリー

結局レナードは何をしていたのか?

彼は妻を死なせてしまったことをレイプ犯に責任転嫁して、想像の中で何度も何度も何度も犯人を探しては殺し続けているのだと思います。

その事はテディ👓も言っていますが、実世界でこんなことをしていたらあっという間につかまってしまいますよね。捕まらないのが証拠です。

彼は自分を責め、自分の心の中の「メメント(=遺品、思い出)」にずっと住み続けて、ずっと愛する人の敵を取り続けているのだと思います。

ずっと記憶をたどりながら、死ぬまで永遠にジョン・Gを探し続けるのだと思います。

当然ですが、テディ👓を殺した後も、その証拠は隠滅し、他の真犯人を追い続けていたでしょう。もちろん、彼の心の中での話です。

これが私の解釈です。

まとめ

以上が私の「メメント」の解釈でした。

制作者側の立場からすると、すべての謎に答えを出すことができないので、敢えて多くの謎を作った、というのが最も事実に近い解釈なのではないかなと思います。

「夢オチにして逃げた」とも言えるかもしれませんが、この映画は本当によくできているなと思います。

ただ、ここまで数十時間かけて「メメント」に付き合ったわけですが、まあ私としては別に好きでもなんでもない作品かなと(笑)

こんなややこしいことしなくてもいい映画はいっぱいありますしね~。
凄い労力だなーとは思いますけど。

ガイ・ピアースはかっこよかったかな。

というわけで、お疲れさまでした。

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