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映画「記憶にございません!」あらすじネタバレ感想!誰に一番見てもらいたいか?

どうもこんにちは、NITARIです。

三谷幸喜の映画「記憶にございません!」を観てきましたので、感想です。

映画「記憶にございません!」のあらすじ

出演者

  • 黒田啓介 – 中井貴一
  • 井坂 – ディーン・フジオカ
  • 黒田聡子 – 石田ゆり子
  • 番場のぞみ – 小池栄子
  • 野々宮万作 – 迫田孝也
  • 寿賀さん – 斉藤由貴
  • スーザン・セントジェームス・ナリカワ – 木村佳乃
  • 山西あかね – 吉田羊
  • 大関平太郎 – 田中圭
  • 鶴丸大悟 – 草刈正雄
  • 古郡祐 – 佐藤浩市

黒田啓介はすべてを忘れて病院で目覚めた。
自分は一体誰なのか?なぜここにいるのだろうか?

逃げた先の定食屋のテレビで見た自分の姿に、黒田は愕然とする。
実は彼は日本の総理大臣だったのだ。

しかし国民から徹底的に嫌われていた彼は、投げられた石に当たって記憶喪失になってしまったのである。

慌てた黒田は病院から逃げるも、つかまってしまう。
黒田の記憶喪失を知るものは、自分と側近の三人だけ。

全てを隠して、公務を続けることができるのか?
多くの人間の思惑の渦巻く政界で生き抜くためのサバイバルが始まったのだ……

映画「記憶にございません!」ネタバレ感想

「ネタバレあり」となっていますが、それほど多くはネタバレしていません。完全なネタバレを読みたい方は別のブログへ。
ただし念のため、ご覧になっていない方はご注意ください。

本編の感想を書く前に初めに記述しておこうと思うことがあります。
この映画「記憶にございません!」のエンディングクレジットの事です。

この映画は終わると主な出演者が「出演順」に紹介されていきます。

私はすべての三谷幸喜映画を観ていますが、とはいえエンディングクレジットまで細かく覚えているほど観まくっているわけではありません。
が、記憶の上で彼は確か昔から(「ラジオの時間」とかから)出演者を「五十音順」で表記していたような気がします。

(気のせいだったらすいません。後で調べます)

今回は「出演順」という事で、どこまでもフラットでいいなあと今回も思ったわけですが、私が注目したのはそこではなく、キャストの紹介が終わった後のスタッフ紹介です。

他の映画と同じように、あらゆる部署のスタッフが紹介されてゆくのですが、その中に三谷幸喜のクレジットもあったんですよ。

全く強調されることなく、ほかのスタッフと同じように大勢のスタッフの中に紛れるように「監督・脚本 三谷幸喜」ってクレジットされていたんですよね。

当然、普通は見逃すくらいのスピードで過ぎ去ってゆきました。
他の映画で彼の名前がどのようにクレジットされていたのかまでは記憶にないのですが(少なくとも初期は単独で名前を出していたと思います)、この映画ではそのように表記されていました。

つまり、この映画はそういう映画なのだと私は言いたいです。

権力に胡坐をかいて、たいして何もしていない、しているとしたら汚職と嫌がらせくらいっていうどうしようもないゴミみたいな人間が一国の総理として特別扱いされているのと、一本の映画を作り上げた中心人物である三谷幸喜が他のスタッフに紛れるようにクレジットされる事。

これがこの映画の本質なんだなあと思って、胸が熱くなりました。

私はこの映画は非常に面白いと思ったにせよ完璧な映画とは言えないと思います。

しかし、それ以前にこのクレジットを見て、権力って一体何なのかなっていう事を思ないではいられない。
今の日本の現状を観ていると、心の底からそう思わざるを得なかったです。

映画「記憶にございません!」の政治性について

そもそも私は、映画に過剰な政治性を盛り込みすぎるのはあまり好きではありません。
私は社会派な作品は大好きなのですが、あまりにもストレートに扱ってしまうのはどうも好きではないんですよね。

この辺の匙加減は私の好みの問題なのでなんとも言えません。

今回の「記憶にございません!」に関しては、普段の私だったらちょっとアウト寄りかなというレベルのものではありました。

しかしながら、あまりにも時代にマッチしすぎていて、もうこれは興味深いとしか言いようがないっていう作品だったんですよね。

増税・汚職・幼馴染への賄賂・不倫問題など、あまりに今の世の中を騒がせながら見逃されている問題(または、過剰反応されている問題)について正面から描いていく勇気は本当にすごいと思います。

三谷幸喜の政治性に関しては、実は私はいまいち疑問を持っていました。

私は先ほども書きましたが三谷幸喜の作品が基本的には大好きで、映画はすべて観ていますしドラマも舞台も可能な限り観ています。

映画より舞台やドラマのほうが好きでして、「王様のレストラン」などは何十回観たか分からないくらい大好きです。

とはいえ、私は三谷幸喜の政治に関しての考え方に実は若干疑問を持っていました。
舞台作品で歴史を扱ったものに関して、ちょっとどうなのかな?と思ったこともあったし、総理関係のものだと90年代のドラマ「総理と呼ばないで」もいまいちピンとはこなかったんですよね。

そういうわけで、今回の「記憶にございません!」も実はあまり期待はしていなかった、というのが事実です。

映画「記憶にございません!」のストーリーについて

この映画は映画としてのクオリティに関しては、私はそれほど高くなかったんじゃないかなと思います。

特に前半はちょっとテンポがもたもたしていたようにも思えますし、つまらないというわけではないのですが、特別笑えるという感じのシーンも少ないように感じました。

前半はのんびりしていて、総理大臣がどういう仕事をしているのか、という事と黒田総理が記憶をなくしてそうするのかや、周りの関係者の紹介に時間を使っているように思えました。

三谷幸喜も時々かなりドタバタコメディを作ってくることがあって、場合によってはあまり好きではないのですが、今回は笑いのポイントそのものがそれほど多くなく、淡々としていた印象です。

分かりやすい寒い笑いを連発されることに比べたらはるかによかったと思います。

もちろん、この映画はそもそもの設定自体に無理があるので、「そんなわけなかろうもん」っていう展開がかなり多かったのは事実です。
そのれは全体的に言えることだと思います。

ただし、前半に比べて後半の脚本のうまさはさすがに三谷幸喜です。
かなりいろんな方向に進んでしまった話を最終的には笑いを取りつつうまくまとめ上げたなと思います。

無理のある展開もありましたが、まあその辺を細かく言及していくのは野暮かなと思いますしね。

特に最高だなと思ったのは、妻と側近の不倫を認めて謝罪するところです。
日本の不倫に対する潔癖はすごいですからな。キモいですからね。

不倫を汚物のように扱うのではなく、こちらにも非があったのだと認める展開はすっきりしますね。

とはいえ、実は三谷幸喜は昔から不倫には優しい人です。
「王様のレストラン」でも不倫を描いて、最後に不倫側が勝利していましたし、そのほかの作品でも基本的に不倫に軍配が上がることが多い、珍しい作家です。

映画「記憶にございません!」を楽しめる人間

この映画こそ、楽しめる人間と楽しめない人間に分かれる作品はないのではないかと思います。

今の世の中をちゃんと見ていて、この映画のこのシーンは一体、今の現実の世の中のどのことを言っているのかな?っていう事といちいち興味深く照らし合わせることができる人間が、「記憶にございません!」を楽しめる人間で、今の世の中なんか全く見てないし選挙も行きませんっていう人はこの映画が何を言いたいのか全然分からないんじゃないかと思います。

今の世の中に興味もなく選挙も行きませんっていう人が楽しめる映画かどうかは、正直疑問があります。そういう人に聞いてみないとわかりません。

ただ、今の世の中を少しでも「なんかおかしい」って思っている人は、実はこの映画は右でも左でも真ん中でも楽しめるんじゃいかと思うんですよ。

で、やっぱりそういう映画って日本には圧倒的に少ないので、大切だなあと思います。

例えば、私が好きな脚本家だと宮藤官九郎とかは、どちらかと言えばはっきりとそういう体制側を批判する方向で作品を作っています(が、それが分からないようにうまく隠しているという印象です)。

「シン・ゴジラ」なども、やはり政権批判が色濃い作品です。

もちろん、三谷幸喜の「記憶にございません!」も現政権批判ははっきりとしているのですが、基本的には日本を愛している作家が国民のために作った映画で、現政権や体制側を批判していたとしてもそれは変わらないんじゃないかなと思います。

三谷幸喜が日本や日本人を愛していることはよく伝わってきます。
愛があるから批判に嫌な毒がないのだと思います。

私は毒だらけの人間なんで、現政権に対して普段は辛辣な批判を聞きたいというのはありますが、この映画はそうではない。
そうではないのに納得できるのは、私自身も日本人だし日本の事は好きだからですよね。

そういう気持ちを思い起こさせてくれる作品だから、私はこの映画は好きだと思いました。

これは私が映画レビュワーとして言うのではなく、今の政治に失望している一国民としての感想です。

とはいえ、今のネトウヨがこの映画を見たら、「本当にその通り。今の日本は安倍政権でよかった」とか言い始めそうなのが、とても悲しいわけですが。

映画「記憶にございません!」のキャスト

三谷幸喜の作品はいつもキャストが豪華絢爛ですが、この作品でもそれは同じでしたね。
それにしても主演の中井貴一が最高だなと思いました。

中井貴一ってなんでこんなに面白いんだかって感じですよね。
この映画絶対中井貴一じゃなきゃできなかったわー

私はディーンフジオカの演技は実はそれほど見たことがなかったのですが(スペシャルドラマくらいかな)、見た目がも声も美しい人だなあと感心しました。演技はどうかわかりません(笑)。

いつ見ても小池栄子は素晴らしい役者だと思うし、吉田羊、斉藤由貴、石田ゆり子も本当に魅力的。

ですが、私はこの映画の役の中で最も面白いと思ったのは、側近の野々宮とそれを演じた迫田孝也です。

迫田孝也は数年前から三谷幸喜作品に出演するようになりましたが、ひたすら注目株でして、今回も「秘密を知っている三人のうちの一人」という事でかなり期待をしていました。

ところが、総理の秘密を知っているたった三人の一人なのに、結局迫田演じる野々宮は最後まで何の意味もなかったですよね。

総理の周りでだらだら楽しそうにしていただけで、結局最後まで何もしなかったというのは衝撃としか言いようがありません。

そしてそれをやり切った迫田孝也も素晴らしかったと思います。
彼は総理の隣で秘密を握りながら何の意味もなかった男で、この先も問題にされることはないでしょう。

彼に比べたら小林隆演じる政治家のほうがまだ内容に絡んでいた。

結果、野々宮マジですげえ、となってしまいました。

まとめ

というわけで、今の日本になくてはならない作品ですが、50年後になくてはならない作品かどうかはわかりません。

でもそれでいいのだ!

という三谷幸喜の気持ちが観れた作品で、私はすごく満足でした。