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人間ドラマ・社会派

映画版「舟を編む」の感想と、ちょっと気になった点

どうもこんにちは、NITARIです。

石井裕也監督の「舟を編む」の感想と解説です。

映画版「舟を編む」あらすじ

「舟を編む」は、石井裕也監督の映画です。

「舟を編む」出演者

  • 馬締光也:松田龍平
  • 林香具矢:宮﨑あおい
  • 西岡正志:オダギリジョー
  • 岸辺みどり:黒木華
  • タケ:渡辺美佐子
  • 三好麗美:池脇千鶴
  • 村越局長:鶴見辰吾
  • 佐々木薫:伊佐山ひろ子
  • 松本千恵:八千草薫
  • 荒木公平:小林薫
  • 松本朋佑:加藤剛

辞書編集部の荒木はもうじき定年になる。
辞書監修者の松本は彼を引き留めようとするが、妻の介護をしたいという荒木の決意は固かった。

荒木は定年までに自分の後継者となるべき人物を探すことにした。
しかし、めぼしい人材はなかなか見つからない。

ある時、荒木の部下である西岡が彼の恋人・三好から、「変人」で有名な馬締という人物を進められ、荒木は彼に会いに行く。

コミュニケーション能力の欠如はあるが、言葉に対して荒木は彼に可能性を感じ、馬締は辞書部に異動になった。

時同じくして、辞書部では新たな辞書「大渡海」の立ち上げに力を入れ始めたばかり。
完成に10年かかる可能性もあるという辞書制作に西岡は怖気づくが、馬締はますますやる気を募らせるのだった。

ある日、馬締が下宿している家で大家の孫である香具矢と出会い、一目で恋に落ちてしまうのだった・・・

映画版「舟を編む」の感想

初めてこの映画を観たのは、この映画が日本アカデミー賞を受賞した後でした。
実はその時は私はこの映画を酷評しました(笑)。

「クソだ!」まで出てきた気がしますが、今となってはなんでそんなに怒っていたのか謎です。

この映画を再見したきっかけは、監督の石井裕也の作品(「僕たちの家族」「乱反射」)が軒並み素晴らしいものだったから。
「こんなにいい映画作れるんだったら、実は『舟を編む』も結構よかったのではないか?」と思ったわけです。

という事で「舟を編む」を再見してみたわけです。
しかし、やっぱり2度目に観ても私はこの映画はそれほど面白いものだとは思えませんでした。

という事で、今回はまずはこの映画の良くなかったところから書いていこうと思います。

初見の時のように「最悪!」とまでは思わなかったので、よくなかったところを書いた後でよかったところも書こうと思いますのでお付き合いください。

映画版「舟を編む」の問題点①スポ根ものだった

まず、普通の映画なんですよ、作りとして。

話の流れが驚くほど普通。
この映画はつかみが「辞書を作る」というもので、そのモチーフはすごく良いんですけど、面白いのはモチーフだけで、作りは普通のスポ根系と何一つ変わらないんですよ、

「今まで社会に馴染めなかった青年が、『辞書作り』というものに情熱をかけるようになって、最初は同僚とかともうまくいかなかったけど打ち解けて、何度かポシャりそうな逆境に耐えて最後には完成する」

これは普通のスポ根ものです。

起こる事があまりにもありきたりなので面白くない。
私はスポ根が嫌いというわけではないのですが、こういう作品はもう少し面白い事をしないとうまくいきません。

問題点は、誰もこの映画を「スポ根もの」だと思わずに作っている事だと思います。
世の中の多くの「スポ根もの」はすでにやりつくされている感があるので、「スポ根」である時点でそのままやったらB級になってしまうのを分かっていて、クオリティを上げるのであれば今までになかった事をしなければならないんです。

しかしながら「舟を編む」の場合はスポ根だとは誰も思わずに素直に作っているので、あまりにもありきたりな作品になってしまったのが問題だと思います。

映画版「舟を編む」の問題点②あざといテーマ

これは客観的な意見というよりは個人的な好みの問題になってしまうので、「こんな風に思うのが正しい!」とは思わないんですけど、なんか全体的にあざとい感じが気になってしまいました。

まあ、この「あざとさ」が初見の時に「クソだ!」と思った理由に他ならないのです。
今回改めてみてみると、「クソだ!」というほどではありませんでしたけど、全体的にはあんまり好きな雰囲気ではないんですよね。

これは本当に、私の個人的な感想に過ぎません。
この作品「舟を編む」の持つ、今の時代に抗うようなテーマというのがどうも疲れる。

この映画のストーリーを始めて聞いたときには、なんて面白そうなんだ!と思ったんですけど、映画を観てみるとあざとさが前に出てき過ぎて疲れるんです。

しかしこれもやっぱり、この映画の構成のまずさというか普通過ぎる感じが問題だったのではないかと思います。

テーマがノスタルジー溢れる王道路線なので、なおさら構成では斬新なアイディアが必要だったのではないかと思います。

お年寄りには人気が出そうですけどね。

映画版「舟を編む」のいい所・石井裕也監督

しかしながら「舟を編む」は何もすべてが最低の作品というわけではありません。
最初は「クソだ!」と思いましたが、今は別にそこまで思いません(笑)。

この映画は元々原作ありきの作品で、しかもこの「辞書を作る」という原作にかなりのパワーがあったかと思われますので、映画化するのは実はなかなか大変だったんじゃないかなーとは思っています。

私は石井裕也監督は僕たちの家族と、最近スペシャルドラマとして放送された「乱反射」だけしか見てませんが、相当、かなり力のある監督だなと思います。

どちらも比較的オーソドックスな作りで、特に気をてらうことなく素直に映画を構成する感じも逆に好印象でした。

ただ、石井の演出の方向性と「舟を編む」のテーマが、合っているようで全然合わなかったのだと思います。

先ほども書いた通り、「辞書作り」というテーマが強すぎたのかもしれません。
石井監督の映画の魅力って、詳細な人物描写だと思います。人間の感情を描くのがめちゃくちゃ上手いんですよね。

だから、「家族」とか、「友人同士」とか、割と身近なテーマのほうが「うわ!」と来る描写が出来るんじゃないかと思うんですよ、

その点、「舟を編む」は人物を描くというよりはどっちかといえば「辞書作り」のストーリーが先行しているので、あんまり石井には向かなかったんじゃないかと思います。

私はもともとこの「舟を編む」のプロットがあまり好きではないので、石井もこの映画を作るのは大変だったのではないかな、と思います。

その中では検討していたなとは思うのですが、今後は石井ならではの微細な人物描写とドラマを期待したい。

多分この人の映画はあんまりヒット路線じゃないほうがいい。

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まとめ

というわけで、「舟を編む」の感想でした。
石井裕也監督は素晴らしいので、これからもとても楽しみですね。

日本映画界に潰されないでほしいです。