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NHKドラマ「フェイクニュース」に批判的な感想を持ったから書く

どうもお久しぶりです、NITARIです。

野木亜紀子脚本の「フェイクニュース」を見ました。

元々TVドラマの感想は基本的にはあまり書かないようにしていたのですが、どうにも書きたくなるドラマを拝見しましたので筆をとりました。

普段はSEOなどをある程度考えて書いているのですが、今回は思うがままに書いてみようと思います。

野木亜紀子脚本「フェイクニュース」の感想

もともと野木亜紀子の名前を知ったのは、「逃げるは恥だが役に立つ」を見た時です。ドはまりしまして、それから後の作品も、それより前の作品もいくつか観ています。

社会問題を意識した作品が多いのが特徴。内容の面白さもさることながら、構成力がすごくて、一つのセリフでそれまでの流れをひっくり返すことができる、数少ない脚本家の一人です。

しかしながら、タイトルにもあるように私はこの「フェイクニュース」に対しては比較的批判的な感想を持ってしまいました。その理由をいくつか挙げてみようと思います。

ただ、前提としてこの作品で描かれているメッセージに対しての批判はほとんどない、という事を書いておきたいです。

このドラマは、大きくいってネットの恐ろしさを書いていますよね。
フェイクニュースの扱い方をはじめ、誰でもが情報を発信できる現代の危うさ、ネトウヨ、差別、セクハラ、汚職…etc。

ドラマは確かに、現代の日本人が抱えている問題を描き切っているとは思います。
そこに、「これは間違ってる!」とか「これは差別的な表現だ!」と思うものはありませんでした。

そのうえで、作品として私が感じた問題点を書こうと思います。

ドラマ「フェイクニュース」に批判的な理由

情報量がとにかく多すぎる。

これはおそらく、制作者側も十分にわかっているのではないかな?と思います。これだけのモチーフを詰め込んでしまったら、「ちょっと厳しいかも」と思わないほうがおかしい。

しかし、野木はやってきた。
多分、あえて挑戦したのではないかな、と思いました。

この作品は現代社会の闇に切り込んだチャレンジングな作品なので、当然無茶も必要だったかもしれないな、と思います。

しかしながら、レビュワーの私としては残念ながらメッセージ性よりも作品のクオリティを云々したくなってしまうんだよね。

伝えたいメッセージが多すぎて作品のクオリティを下げてしまう事に対して、私は割と批判的なんです。これは仕方がない。

フェイクニュース、ネット社会、ネトウヨ、差別、セクハラ、汚職…

これらが全部一つの事件から浮き彫りになってくるというのは面白いのかもしれないけど、同僚の男の子が在日何世かだったというあたりの描写にせよ、選挙の話にせよ、確かに内容は繋がっているのかもしれないけど話を盛り込み過ぎて焦点が定まらなくなってしまったのは残念でした。

これは私の好みの問題かもしれませんが、私は伝えたい事があったとしても必ずどこかにヌケ感が必要だと思います。

それは、内容の全てが伏線になっていて最後に繋がる、という机上の物語を語ってしまう事にも繋がります。

この作品はとにかくひたすら取材を重ね整合性は取れているのかもしれませんが、実際全然リアリティがないのはそういう事です。

願わくばこの作品の情報量を2/3に絞ってもう少しテンポを下げたほうが良かったかもしれませんね。

とにかく私は情報量が多い作品があまり好きではないので、この作品の言いたいことには全て同意できますが、問題が多いなあと感じました。

是枝裕和の「万引き家族」でも同じように感じましたが、基本的に世間に訴えたいことがあり、それが透けて見えすぎる作品はあまり好きではありません。

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「フェイクニュース」のストレートな表現について

世間に訴えたいことは、セリフやストーリーで直接的に表現するのではなくて、少し湾曲した表現をしてほしいな、と思っています。

ただ、そこは非常に判断の難しい所で、実際そういう分かりづらい作品ばっかりだったら、ぼんやりした人には伝わらないのかもしれません。

だったら、直接的な作品を作ったほうがいいのかなあとも思うんですよ。

この「フェイクニュース」も、Twitterなどを見ると圧倒的に「よかった!」と言っている人のほうが多いです。それはとてもいいことだと思います。

しかしながら、いち映画ファン、ドラマファンとしては、やっぱり伝えたいメッセージよりも作品の良さのほうを重視したくなってしまう。

映画を作者の伝えたいメッセージを伝えるツールにしてしまう事に違和感がある。
それよりも、まず作品として素晴らしいものになっているかどうかを意識して欲しい。

私はそういう事に関しては厳しい意見を持っているほうだと思います。

世間的には非常に評価された「万引き家族」にせよ、ピクサーの「ズートピア」にせよ、3人の実在の黒人女性を描いた「ドリーム」にせよ、伝えたいメッセージには非常に共感しますが、伝え方に問題がある、という結論に達しています。

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しかしながら一方で、これらの作品で世間の人がどれだけ考えて、感動したのかという事は重要視してもいいのではないか、と思ってもいます。

だから確実にこれらの作品がダメだという事はありません。
ただ、今回の「フェイクニュース」にしても、右脳よりも左脳を活性化させるタイプの作品だな、と思うし、そういう作品はあんまり私自身は好きじゃないです。

「フェイクニュース」におけるリアリティの表現

もう一つこの作品で微妙だな、と思った点があります。
その前に、逆にすごくよかったなという点から書こうと思います。

それは、さんざんネットニュースの危うさを取沙汰し、ともすればネットニュースそのものを悪のように描いておきながら、最終的には大手新聞社にできなかったことをネットニュースでは成し遂げた、という結論に達するところです。

これ、ネットで生きている人間の端くれとしては、よかったかどうかはよくわかりませんか、実感としては「そうそう!」という感じでした。

ネットは自由なツールだから、怖くもあれば、使い方次第では最強なんですよ。
そのあたりの描写はすごく面白かったと思います(というか、もうこの辺の話を中心に構成してくれればよかったのにっていう。シンプルにいこうぜ)。

ただ、その後の広場のシーンはマジで丸ごといらない。
全くリアリティがない、SFファンタジーみたいになってしまいました。

もちろん、野木はそれ分かってて書いたのかもしれません。
「こんなカオスな世の中になってしまうかもしれない」
もしくは、あれはネット上で行われている「炎上」へのメタファーかもしれません。いや、そうなのでしょう。

しかしいかんせんウザい。置いてけぼり感がすごい。

そして最後に猿渡さんがホームレスになっているところとか盛り込み感が半端ない。

ホームレス問題や貧困問題は非常に大きな問題なので、こういうところでチョチョっと取り上げるのもどうかと思う。。(というか、このドラマそんなんばっか…)

まとめ

という事で、面白いなーと思うところもありながら、全体的には微妙な作品となってしまいました。

ちなみに、「社会の大きな問題を取り上げながら、地に足がついてリアリティがあり、社会批判もふんだんに盛り込んだ良作」としては、1カ月ほど前に放送された妻夫木聡主演石井裕也監督長編ドラマ「乱反射」が良かった。

社会問題を取り扱いながら地に足のついた作品、というのはああいうのの事をいうのよ。