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「妻への家路」あらすじ感想。文化大革命など時代背景も解説!

NITARI
NITARI
今日は、チャン・イーモウ監督の「妻への家路」のレビューです。
虫
中国の「文化大革命」を扱った作品だよね。

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映画「妻への家路」のあらすじ

出演者

  • 陸焉識(ルー・イエンシー):チェン・ダオミン(陳道明)
  • 馮婉玉(フォン・ワンイー):コン・リー(鞏俐)
  • 丹丹(タンタン):チャン・ホエウェン(張慧雯)

文化大革命中の中国。
バレエ学校に通っている娘のタンタンと暮らす母フォン・ワンイーの元に、ある知らせがもたらされる。

「陸焉識(ルー・イエンシー)が逃亡した!」
イエンシーはワンイーの夫でタンタンの父である。彼は右派分子として追放されていたのだった。
警察はイエンシーが家族の元へ戻るだろうと予測して彼らに「絶対に会うな」と伝え、2人を見張る。

今でも夫を愛しているワンイーはそれを聞いて動揺する。
共産党思想を教育されているタンタンは父の事を恥じており、この逃亡事件によってバレエで主役の座から降ろされてしまったことにショックを受けていた。

そんな中、イエンシーがワンイーの元を訪れる。
しかしワンイーは部屋のドアを開けようとしなかった。その代わり、彼はタンタンと遭遇。翌日に駅で会えるよう、ワンイーに伝えてくれと頼んで去った。

ワンイーは翌日、イエンシーに会うため駅へ向かう。
しかし、タンタンが警察にその事を密告していたがために、イエンシーは捕らえられてしまうのだった。

3年後、文化大革命が終わった。

時代が変わり、イエンシーは釈放されてワンイーの元へ戻ってくる。
しかし、そこにいたのは妻の変わり果てた様子だった・・・

映画「妻への家路」の解説

チャン・イーモウ監督が文化大革命を描いた作品です。

この映画はシナリオが非常にシンプルなので、特に当時の中国の時代背景など知らなく手もそこそこ感動できる作りになっています。

しかしながら、やはりこの映画の核となる部分は「文化大革命」だと思いますので、ざっくり解説していこうと思います。

中国の「文化大革命」とは?

虫
「文化大革命」って聞いたことあるけど、結局どういう政策なの?
NITARI
NITARI
文化大革命は毛沢東が始めた政治運動だよ

毛沢東の事を知らない人はいないと思います。

文化大革命は、1966年に毛沢東が提唱した政治運動の事です。

ものすごーくかいつまんで説明すると、「打倒:資本主義政治」と言った感じで、社会主義文化の繁栄を望むという名目で進められた政策です。

毛沢東は文化大革命以前の1958年に「大躍進政策」という政治を打って大失敗。大量の餓死者を生み、毛は主席の座を追われてしまいます。

この「大躍進政策」の説明は省きますが、今聞くとウソみたいなめちゃくちゃな政策で推定4000万人餓死者が出たといわれているトンデモ政策なので、興味があったら調べてみることをお勧めします。

毛沢東は何とか主席の座に返り咲きたいぞ、と思って狙いを定めたのが、社会主義に資本主義思想を取り入れ始めた当時の政治に反感を持っていた若者たち。
毛沢東は「国家の危機だ!」と彼らに呼び掛け、当時の政権の打倒を目論んだわけです。労働者や農民は賞賛され、知識人は否定され始めるようになりました。

赤くて小さい手帳のような「毛沢東語録」を配布し運動は大きく広まってゆきます。
感化された若者たちは紅衛兵と言われ、暴力的な方法で当時の指導者らを迫害してゆくわけです。

紅衛兵の矛先は当時の政治指導者だけに限らず、文化財を破壊したり学校などを襲撃したり、教師など知識人なども迫害・逮捕されてゆきました。

やがて紅衛兵の中でも派閥が生まれ始め、だんだん機能しなくなり、毛沢東でも制御不能な状態になってしまったわけです。中国全土にわたり武力闘争が行われたため、農業なども壊滅状態になったようです。

毛沢東がどうしたのかというと、今や迷惑な存在となってしまった紅衛兵たちを地方の農村などに送って農業の復興を務めさせた。というのは聞こえのいい言い方ですが、要は追放してしまったわけです。
もちろん素人が急に農業なんかやっても全然ものにならずに被害は増幅したんですけどね。。

結局文化大革命は1976年の毛沢東の死によって終焉を迎えたわけですが、この政策での死者は2000万人ともいわれています。

NITARI
NITARI
ものすごく端的に言うと、毛沢東が自分の利益のために若者たちを煽って暴動を起こさせ、その上彼らを地方に追いやった。その犠牲者が推定2000万人だったわけです(すごくかいつまんだけど)
虫
規模が凄まじすぎて何が何だか分からない

この現象は中国国内だけでなく、全世界にも大きく影響した政策でした。

「妻への家路」の政治的解釈について

ざっくりした時代背景の解説をしましたので、ここからは「妻への家路」の解説をしたいと思います。

この映画はオープニングでイエンシーとワンイーの娘であるタンタンのバレエダンスのシーンが描写されています。

この映画で最も若いタンタンは、毛沢東思想にどっぷりとつかった若者で、イエンシーの罪を心から恥じています。

彼女が主役の座を射止められなかった「紅色娘子軍」は、毛沢東思想を賞賛する内容のもので、当然ですが主役を演じることはバレエダンサーとしてこの上ない喜びだったはずです。

NITARI
NITARI
ちなみに、舞台を見ている観客たちが赤い本を振りかざす描写があるけど、これが毛沢東思想のアイコンって感じなんだよね。

父イエンシーの罪とは?

さてここで根本的な疑問ですが、父のイエンシーはそもそもどういう罪で追放されていたのでしょうか?

映画ではこの部分は全く語られていません。途中で彼を追う警察(紅衛兵)が「右派分子!」と言って捕えますよね。

先ほどの文化大革命の説明でもありましたが、紅衛兵は知識人を弾圧していました。
この映画の主人公であるイエンシーは大学教授です。

この映画はもともと原作があり、その原作では彼が逮捕された部分もも描かれているようです。この映画ではそういったことは描かれていませんが、イエンシーが大学教授であるという事だけでも彼がかなり理不尽な理由(ただ、社会主義を批判したという程度)で追放されていたことは予想がつきます。

ワンイーが恐れていた「方さん」とは?

記憶を失ったワンイーがたびたび恐れている「方(ファン)さん」というのは、話の流れから言ってイエンシーの釈放を求めたワンイーが取り合っていた紅衛兵です。

おそらくイエンシーの釈放を盾にかなり横暴な事をしていたはずです。もしかしたら性的な嫌がらせをされていたのかも?と思わせるシーンもありますよね。

方さんは「地方へ異動になった」と言っていますが、これが先ほど説明した、紅衛兵の地方への追放なのかな、と推測できます。

イエンシーは彼を探しに、彼が飛ばされた田舎へ会いに行きますよね。
しかしそこには方さんの妻と思しき人物がいるだけ。彼女は「あの人は何もしていない、いつになったら返してくれるのか」と言います。

彼もまた文化大革命の犠牲者なんでしょうね。それを聞いてイエンシーは何も言えずに立ち去るわけです。

映画「妻への家路」のテーマ

この映画はただ単に歴史の運命に翻弄された夫婦を描いただけではないことは、以上の解説でお分かり頂けたかと思います。

この映画では悲劇の夫婦として描かれていますが、このように時代の被害者になってしまった人は当時数えきれないほどいたのだという事も暗に描写しているように私は思いました。

この人たちはまだ生きているからマシなのかもしれなくて、大躍進計画から数えると中国国内だけで数千万人の死者が出ている重大な政治的事件だったんですよね。

毛沢東思想に影響を受けた政策や運動の犠牲者や影響を合わせると、数億単位かもしれません。

文化大革命の後にその思想がより偏った政策として執行されてしまった、カンボジアのポル・ポト政権なども忘れてはいけない出来事ですよね。

その悲劇の末端のたった一つの家族を描いた作品ですけど、「生きているからマシだよね」と一言で片づけられない悲劇としか言いようのない作品がこの「妻への家路」なのだと思いました。

「妻への家路」感想

というわけでここから感想です。

NITARI
NITARI
涙 腺 崩 壊

ですよね~。あまりにも泣ける。泣け過ぎる。

チャン・イーモウと言えば「秋菊の物語」「初恋のきた道」「あの子を探して」などが私のお気に入りですが、非常に素晴らしい作品が多くて大好きな映画監督です。

今回の「妻への家路」の主役に抜擢されたおなじみのコン・リーの演技がやはり素晴らしいのですが、私としては夫役の陳道明が大ヒットでした。

いやあ、めちゃくちゃかっこよかったじゃないですか。

タンタン役の張慧雯も本当にかわいらしかった。

この映画は基本的に3人以外はほとんど出ていないのに、その3人の魅力が爆発して本当に素晴らしかったです。

映画全体の評価としても非常に高くはあっておすすめなんですが、しいて言うならば全体的に若干ドラマチックすぎる展開(泣きを狙う展開)だったところは、まさに映画っていう感じでどうかなと思う部分もありました。

NITARI
NITARI
ちょっと分かりやすい感じだったかな、と。
虫
まんまと泣いてたけどな
NITARI
NITARI
それな

まとめ

というわけで誰にでもおススメできる非常に素晴らしい作品でした。
チャン・イーモウの作品は見ていないものも多いので、これを期にまたいろいろ見てみようかな、と思った次第です。

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