人間ドラマ・社会派

映画「ブラック・クランズマン」感想と人種差別問題を解説します。

NITARI
NITARI
今回は、人種問題を扱った「ブラック・クランズマン」のレビューだよ
虫
かなり評価された作品だったみたいだけど、どうだったん?

映画「ブラック・クランズマン」のあらすじ

「ブラック・クランズマン」はスパイク・リー監督の作品です。

出演者

  • ロン・ストールワース刑事 – ジョン・デヴィッド・ワシントン
  • フリップ・ジマーマン刑事 – アダム・ドライバー
  • パトリス・ダマス – ローラ・ハリアー
  • デービッド・デューク – トファー・グレイス
  • クワメ・トゥーレ – コーリー・ホーキンズ
  • ウォルター・ブリーチウェイ – ライアン・エッゴールド

当時としては珍しい刑事として働いていた黒人のロン・ストールワースは、かねてからの願いで潜入捜査の仕事を得ることができた。

それは全国公民権指導者であるクワメ・トゥーレの演説集会に潜入してレポートする事。
そこでロンはコロラド大学黒人学生組合の会長であるパトリスと知り合う。

集会への潜入の実績が認められ、ロンは諜報部に配属が決まった。
そこで彼は新聞のKKKの広告に眼を止め、白人男性として電話をし、コロラドスプリングス支部の会長であるウォルター・ブリーチウェイと話をし、面談のアポを取った。

白人至上主義団体の代表に黒人が会いに行くわけにはいかない。
諜報部の結局面談にはユダヤ系アメリカ人であるフリップがロンのふりをして潜入することになった。

フリップは彼らに、自分が白人である事を信じさせ、入団を認められる。

一方、電話での会話は相変わらずロン本人が務めていた。
あるとき、会員証の発行の最速のために本部に連絡すると、最高幹部であるデュークと話をすることができた。彼は電話でデュークと仲良くなり、KKKの深部に入ってゆくことに成功するのだが・・・

「クー・クラックス・クラン(KKK)」とは?

虫
そもそもKKKって一体なんなの?

この映画を観る前にまず、「クー・クラックス・クラン(KKK)」というものを知らないとなかなか中に入ってゆけないと思いますので解説です。

「クー・クラックス・クラン」とは、白人至上主義団体の事。南北戦争終結後から活動を開始した古い団体です。

かなりいろいろな映画でも取り上げられているので、映画が好きでいろいろと観ている方は、一度はその名前を聞いたことがあると思います。

KKKの差別対象として最も有名なのが黒人で、この映画でも描かれましたが黒人をリンチして木に吊るしたり火を付けたり、とにかく過激なテロリストたちの集団です。

黒人が差別対象としては有名ですが、彼らは黒人差別主義者というよりは「白人至上主義者」ですので、ユダヤ系も差別の対象となるし、ヒスパニック系やイスラム系、アジア系も差別の対象となっています。

人種だけでなく、同性愛者に対しても権利を否定しています。

KKKの特徴として、映画でも出てきましたが三角の被り物をかぶって白装束を身にまとい、十字架を燃やすという儀式を行います。

NITARI
NITARI
白人以外の人種に非人道的な感情を持っている、怖い団体だよ

映画「ブラック・クランズマン」の感想

この映画は2019年のアカデミー賞の作品賞にもノミネートされましたし、監督のスパイク・リーは脚色賞を受賞するなど、かなり話題になった作品です。

虫
予告とか面白そうだったけど、どう思った?
NITARI
NITARI
正直言ってあんまりおもしろくなかった……

映画「ブラック・クランズマン」の問題点

この映画は予告を観た限りではブラックユーモアにあふれた作品であると予想していました。社会風刺的な作品であることは間違いがありませんが、黒人とユダヤ人がKKKに潜入するんだからかなり面白そうだと思ったんですよね。

しかしながら、実際はこの映画ではほとんど全くと言っていいほど、ユーモアは描かれていません。これは正直言って大問題です。

他の記事では再三お伝えしていますが、私はほとんど全ての映画に「ユーモアか恐怖」を描くべきだといってはばかりません。
特にユーモアに関しては、ただ映画がシリアスであるというだけで批判の対象になるくらい重大な要素だと思っています。

もちろん、世の中にはどうしようもなくシリアスで、ユーモアのかけらもない作品も数多く存在するし、その中にもちろん傑作があるという事もわかっています。それは例外として私も理解はしています。

しかしながら、この「ブラック・クランズマン」はどう考えてもコメディになりえた作品であることは一目瞭然ですよね。

黒人とユダヤ人がKKKに潜入するとか、笑わせないでどうすんのって感じですよ。

実際この映画は全体を通じて、コミカルな要素には満ち溢れているんです。
そもそもKKKの幹部であるデュークの存在自体が笑えるはずだった。この映画では、これでもかというくらいKKKがバカみたいに滑稽なキャラとして確立するはずだったんです。

しかしながら、スパイク・リーはあろうことが、それらのすべての美味しいネタを全てスルーして、不愉快なほどに真面目腐った感じでこの作品を作り上げてしまったんですよ。

もちろん、めちゃくちゃシリアスかといったら多少コミカルなタッチにはなっているんですけど、完全に中途半端。シリアスにするならイーストウッドくらい振り切ってほしい。

これでははっきり言って風刺も何もあったもんではありません。
同じネタをサタデーナイトライブかなんかのスタッフに映画化させた方がよかったんじゃないでしょうか?

「ブルース・ブラザーズ」でも見習ってほしい。

とにかく、あらゆる点で笑える風刺作品になったはずの本作は、笑いのセンスのかけらもないスパイク・リーの為に台無しになってしまったといってもいいでしょう。

なんというか、この映画からはスパイクの、コメディに対する軽視のようなものすら感じてしまいます。

NITARI
NITARI
コメディに対して誠意のかけらも感じなかったよネ
虫
NITARIのユーモアに対するこだわりが怖すぎるわ

映画「ブラック・クランズマン」の社会批判の在り方

それは何も、私がコメディが好きだからというだけの事ではありません。

この映画はユーモアもなく、ぜんたいが同じトーン、同じテンションで撮られてしまったがために、最も重要なポイントを観客が見逃す結果になってしまう、そういう点でも問題だと思っています。

この映画で描きたいのは、もちろん人種問題。そして、反トランプ政権です。

私もトランプは嫌いなのですが、この映画からは全体を通じて反トランプ政権を声高に唱える意図しか見えないのも問題です。

こういった社会批判のメッセージの濃い作品こそ、見せたい部分を強調するためには全体的には優れたエンタメ作品であるべきなんです。

この映画は「エンタメ作品だ」という事で評価されたそうですが、こんなに笑いのネタを無視しまくってるのに何がエンタメ作品でしょうか。

この映画が、もし内容が全く同じだったとしても、全体的に風刺のきいたエンタメ作品として成立しているのであれば、クライマックスの非常に重要なシーンでロンが犯罪者と間違えられて検挙されそうになったシーンがもっと際立ったはずだし、もっと言えばラストの現代の人種問題の実写映像がもっと効果的になったはずだと私は思います。

この映画は最初から最後まで、「人種問題!!黒人の人権!!!」と、スパイク・リーが観客の耳元でずーっと叫び続けているような作品でした。

そうではなく、全体的に笑いの満ち溢れたエンタメ作品であれば、本当にシリアスなシーンでそのメッセージは心にもっと深く刻み込まれたのではないかな、と思います。

最後の実写映像に関しては、あれはもうスパイクがああしたかったんだからいいと思うんだけど、私自身はそれほど好きではない。好きではないけどあれを効果的に魅せるのであればもう少しできることがあったんじゃないかな、と思ったのでした。

映画「ブラック・クランズマン」の役者たち

しかしこの映画は出演者が素晴らしかったですね。

主人公ロン役のジョン・デヴィッド・ワシントンもよかった(デンゼル・ワシントンの長男だというのは先ほど知りました)けど、ユダヤ人フリップ役のアダム・ドライバーが素晴らしかったですね。

彼は今年のアカデミー賞にノミネートされていましたが、納得です。

NITARI
NITARI
アダム・ドライバーが素敵だった!

それよりなによりも、パトリス役のローラ・ハリアーが超かわいくて、超魅力的で100点満点、いや1000満点でした。

もう可愛すぎ。
普段はアフロとかじゃないらしいんだけど残念ですね。常にこの装いでいてほしいくらい超かわいいしかっこよかった。完全に魅了されました。

まとめ

というわけで、まあ正直言って私としては物足りないの一言ではありましたが、アメリカの黒人社会に関していろいろと分かるところがあるかもしれませんのでとりあえず見てみてもいいのではないでしょうか?

原作は面白そうですけどね。

NITARI
NITARI
「ブラック・クランズマン」は★★☆☆☆(2つ星)でした。