死ぬまでに観たい映画
戦争・歴史

古代ローマ好きが映画「ベン・ハー」の魅力を徹底解説してみる。

チャールトン・ヘストン主演の「ベン・ハー」をようやく見ました。

古代ローマが好きで遺跡巡りをしているというのに、全然見れてなかった。だって長いんだもん。

「ベン・ハー」の意外なあらすじ

意外意外と言いますが、特にどういう作品なのかのイメージは特になかったので、考えてみれば意外でもなんでもなかったのかも(笑)

内容をかいつまんで話しましょう。

ユダヤ人のユダ・ベン・ハーが主人公で、彼には小さいころからの幼馴染であるローマ人のメッサラとは親友同士なんだけど、メッサラは長い事エルサレムを離れていて、数年ぶりに軍司令官として戻ってくる。

久々の再開の喜ぶ二人なんだけど、長年離れていたお互いは既に政治的に別々の思想を持っていて、仲たがいしてしまう。

そんな時、ふとした誤解からベン・ハーとその家族が総督暗殺の罪を着せられ、捉えられてしまう。捉えたのは幼馴染のメッサラだった。

ベンはせめて母子だけは釈放するように頼むが聞き入れられず、離れ離れにされてベンは囚人としてガレー船の漕ぎ手として死ぬまで酷使される運命に。

しかし、海上の戦闘でベンは幸運に恵まれ、海軍の総司令官アリウスの命を助けたことから、アリウスの養子として迎え入れられローマ市民権を得る。

かねてよりメッサラに対し復讐心を忘れなかったベンは、しばらくアリウスと過ごした後、エルサレムに戻ることに。その道中、彼はメッサラが今は戦車競技で鳴らしていることを知る。

既にメッサラに引けを取らない立場にいるベンは、堂々と彼の前に姿を現し、妹と母の行方を問う。調べると二人はハンセン病にかかっていることが分かり、すぐに「死の谷」に追放された。

しかしベンにはそのことは知らされず、ただ「死んだ」とだけ知らされた。

復讐に燃えるベンはメッサラと戦車競技に出場することになる。
競技でベンは見事にメッサラに勝ち、ローマ市民権を得る。

しかしメッサラはレースの事故で死んでしまう。
その間際、彼はベンの母と妹が生きており、死の谷にいることをベンに伝える。

ベンは死の谷から何とか二人を救い出そうとするのだが……

ベン・ハーの解説と感想

ベン・ハーが描く古代ローマの戦車競技について

私は非常に古代ローマに興味があり、たくさんの遺跡もめぐってきているし古代ローマにかかわる番組はなるべく見るようにしているのだけど、ベン・ハーはあまりにも長い!長すぎる!という事で見てませんでした。

で、重い腰を上げてみたんですが、本当にすごかったですね、レースのシーン。

レースのシーンだけじゃなくて、本当に隅から隅まで一体どうやって撮ったの?というのと、一体いくらかけて撮ったの?という気持ちでいっぱいでした(笑)

圧巻なのはやはりレースシーンで、何がすごいと言ってその臨場感。

特に私が興味をひかれたのは、レースによる事故が起こった後に彼らを引き揚げさせる部隊みたいのが出てきて退場させるという描写。

レースから脱落すると馬車の破片やら負傷したドライバー(っていうの?)やらをコース外に出す人たちがバーって出てくるんだけど、適当に描きそうなところを案外しっかり彼らの事を描いているのがすごくリアリティが高くていいと思う。

本来だったらレースだけを見せると思うんだけど、このシーンは本当に音楽も使わないし過剰な演出もなく、意外と淡々と描いているのが好感を持てますね。

もちろん、レース自体がドラマチックなので、特に音楽などの演出は必要がないのだと思います。

しかし笑ったのは、途中でレースが緊迫した状況になったらメッサラが苦し紛れにベンを無知で攻撃し始めるところですねww

お前が打つのかよwwwと思ってかなり笑いました。
でもまあ、結局のところベンが勝ったんですけど。

ベン・ハーの本当のテーマ

しかし、私はてっきりそんな超有名なレースシーンは、映画のクライマックスなのかと思っていました。

しかし、実際は後半の冒頭で既にこのシーンは流れてしまいます。
この映画にとっては、実はレースシーンはただの映画の一部分なんですよね。

本来、この映画が描きたかったことは、完全にキリスト教の起源の話です。

まあ、この映画は最初にある村(ナザレ)である命が誕生するところから始まるので、その時点で「ん?これはキリスト教にまつわる映画なのかな?」という事が分かります。

途中、ベンが砂漠で死にそうになった時にも、水をくれたのはイエスだったし、そのあとにも「神」を連想させる描写がいくらでも描かれている。

この映画のすごいな、というのは、これだけお金をかけているのに「キリスト教啓蒙」っていうテーマがあまりにも明確なので、全然ぶれてないし、あの有名なレースシーンですらメインイベントではなくてあくまでもコマの一つとして使っているところが潔くていい。

お金をかけまくってつまらない映画っていうのは山のようにありますが、この映画がそうならずに作品としても素晴らしいものになったのはそういう理由があります。

ベン・ハーが問いかける宗教の考え方

要するにこの映画は、お金ばかりはたいたバカっぽい映画というのではなくきちんとしたインテリジェンスを搭載しているという事。

しかしながら、映画のクオリティとしては賞賛できるのかもしれないけど、私自身はあんまりキリスト教が好きではないので、最後にベンがキリスト教を選ぶような描写はちょっとがっかりしました。

「死の谷」から戻ったベンが、イエスの元に集まる人々の流れに逆らってローマへ向かうっていうシーンは「おっこれはなかなか気骨のある映画だぞ」と思ったのに、そのあといろいろあって、奇跡とかおこったりして本当にキリスト教ってサイコーだよねみたいになって終わったのはがっかりですね。

まあ、それはしょうがないのかもしれないけど。

この映画は、と言っても別にユダヤ教を否定しているわけでもなければイスラム教も否定していないし、そういう意味で昔の映画なのにわりによくできていなあと。

特に好きなシーンとしては、最後にベンがピラトゥスと話す場面。

そこでベンが彼に、「メッサラもローマに行くまではあんな人間じゃなかった。我々を陥れたのはローマ社会だ」みたいなことを言うシーン。反社会的なメッセージが取れてすごくいいですね。

実際ね~、もし本当にこの通りにキリスト教が「敵を愛せ」というメッセージ通りの宗教だとしたら私も共感できるのだが。

チャールトン・ヘストンがとにかくかっこよかった

しかし、ベン役のチャールトンはほんとにかっこよかったですよね。
私のイメージ的にはもうちょっと猿みたいなオッサンのイメージだったんだけど、とにかくかっこよかったし演技が上手い。

彼以上にベン役を演じられる人は絶対にいないと思う。

それから、まあチャールトンに限らないんだけど、古代ローマのあの布巻いたみたいな服ってかっこいいよね。

チャールトン・ヘストン

これすごいきれいで素敵だなあと思った。
チャールトンにもすごく似合っていて。

まとめ

とにかくやはり聞きしに勝る面白さで、ベン・ハーは見てない人だったら絶対に観なきゃいけないし、古代ローマ好きとしても血沸き肉躍る作品だったのでよかった。

キリスト教万歳映画ではあるけど、まあそれはそれとしても面白いので観たほうがいいです。