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実写映画版「アルキメデスの大戦」ネタバレ感想と解説&戦艦大和についての話。

どうもこんにちは、NITARIです。

今日は、菅田将暉主演の「アルキメデスの大戦」を観てきましたので、感想です。

実写映画版「アルキメデスの大戦」あらすじ

時代は太平洋戦争へと向かう1933年。

日本は前年に満州国を建国し、国際連盟を脱退。世界各国から孤立を深めていた時代。
海軍省は、世界最大の戦艦を建造する計画を推し進めていた。

海軍第一航空戦隊司令官である山本五十六はそれに強く反発。彼は、これからの時代は戦艦ではなく戦闘機主体の時代がやってくると読み、そのためには巨大だが非効率な軍艦ではなく航空母艦を建設すべきだと譲らなかった。

山本は計画を阻止すべく、嶋田と造船中将・平山の推し進める計画の見積もりに不信な点があるとして、最終的な会議までの間に正しい見積もりを計算することに。

山本は、東京帝大を退学になった天才数学者・櫂直(かい ただし)に正しい見積もりの算出を依頼する。

しかし、巨大戦艦のデータはすべて平山が管理しており、手元にはないのだった……

実写映画版「アルキメデスの大戦」を見るのに必要な予備知識

この映画は実話をもとにしたフィクションですので、特に史実を知らないと楽しめないということもない(何も知らなくても楽しめる)作品ですが、念のため事実を知っておくとより楽しめるのではないかな、ということでいくつか紹介してみたいと思います。

史実ですのでネタバレ、ということにはならないかと思いますが、知らない方は知らないまま観て後で捕捉としてお読みいただくのでもいいかもしれません。

どっちでもいいです。

戦艦大和とは?

戦艦大和という名前を聞いたことがない人はいないと思います。
多分、日本で一番有名な戦艦ですよね。

この映画を全部見ればどういう立場の戦艦だったのかというのはよくわかると思いますが、せっかくなので捕捉します。

戦艦大和は1942年(昭和17年)2月12日に連合艦隊旗艦となった戦艦です。この時の指揮官は山本五十六です。

真珠湾攻撃が1941年の12月なので、その約3か月後の事ですね。

太平洋戦争は周知のとおり、1945年8月まで続きますが、実際は1942年のミッドウェー海戦の負けによって、作戦の主導権は完全にアメリカに譲り渡すことになるわけです。

で、戦艦大和というのはそのミッドウェーが初出撃となったわけですね。そんで見事に負けています。

そこからはめまぐるしい勢いで日本の戦況は悪くなっているんですよね。つまり、開戦して半としで負けは見え始めていたのに、ずるずると引っ張り続けて1945年まで戦争は続いています。許せないことです。

ミッドウェー海戦に関しては、ハリウッド映画の「ミッドウェイ」という作品がなかなか良くできていると思います。

山本五十六とは?

私はあまり当時の事に詳しいわけではないので、この「アルキメデスの大戦」に出てくる人で誰がどの程度重要な人物なのかはちょっとよくわかりません。

が、そんな私でも知っているくらい山本五十六は非常に有名な人です。
太平洋戦争の映画などでは必ず出てきますが、名将として描かれることが多く、今現在に至るまで割と英雄視している方も多いのではないでしょうか?

「アルキメデスの大戦」でも割と好意的な描かれ方をしています。

とはいえ、お人よしというか詰めが甘いというか、敵を冷酷に打ち砕く決定打を持たなかったということで批判的な見方をする方も多いようですね。

私はそのあたり、意見を持つほど知識はありません。

戦艦長門とは?

別に見逃してもいいかなと思ったのですが、「アルキメデスの大戦」で割と重要な位置についていたのが戦艦長門。この戦艦ももちろん実在しています。

竣工時世界最大・最速を誇った戦艦長門は、最も長い期間にわたり連合艦隊旗艦を務めていた戦艦で、今でも根強い人気です。

最終的には戦後アメリカ軍に没収され、ビキニ湾での核実験の実験代にされたとか。
そういった最期もあって、今も愛されているのかな、と思います。

私自身は戦艦にはそれほど興味が持てないのですが、艦これなどの影響で今でも根強い人気がありますね。戦艦にはストーリーもありますが、単純に戦艦そのものの造形が美しくて好き、と言っている人もいます。

ちょっとその辺はよくわからない…(笑)

実写映画版「アルキメデスの大戦」の感想

というわけで、映画の感想に移りたいと思います。

正直、全く期待していなかったんですけど、思ったよりはなかなか面白かった、というのが大まかな感想です。

順を追ってご説明します。

  • 原作は全く知りませんので、この記事は完全に映画を見ただけの感想となります。
  • ネタバレしますのでご注意ください。

「アルキメデスの大戦」の冒頭シーンについて

この映画で最も素晴らしいな、と思ったのは、冒頭の戦艦大和の沈没シーンです。

従来の日本の戦争映画やパニック映画の場合は、こういったCGやセットを組み合わせて演出する大規模なシーンで必ず安っぽくなってしまうことが多く毎回辟易とするのですが、今回の「アルキメデスの大戦」は冒頭のシーンがかなりすごい迫力です。

相当お金をかけているし、非常にクオリティが高かったと思います。

「アルキメデスの大戦」は実はいろんな意味でこの冒頭シーンが重要なんですよね。
なぜかというと、予告でもうたわれているようにこの作品は「机上の戦争」がモチーフとなっているからです。

つまり、冒頭のシーン以外はほとんど全く戦闘シーンがありません。
戦闘シーンどころか、ほとんどの出来事が屋内で起こっているし、ほとんど派手な動きはありません。

この作品は結構予算をかけて作り上げていると思いますが、そのほとんどの予算を冒頭の7~8分にぶつけたのではないでしょうか?

そして観客の心をつかんでおいて、そのほかのシーンは屋内で低予算で作り上げる。
予算の使い方がうまいんですよね。

冒頭であそこまでの戦闘シーンを流してしまえば、それだけで映画自体は安っぽかったり低予算っぽい感じは全くしなくなります。

戦艦より空母が重要だったのに……

もう一つ、冒頭で面白いなと思う表現がありました。

それは、戦闘機から脱出して海に落ちたアメリカ兵を、飛行艇がすぐさま救助に来るシーンです。それを見た日本兵は衝撃を受けた顔をします。

これって何だったの?と思う方もいるかもしれませんが、たぶんこれは飛行艇の対応の敏速さを表現しているのだと思います。

どうして飛行艇の対応の早さを表現する必要があるのかというと、飛行艇(もちろん戦闘機も)が付近に待機しているアメリカ軍の航空母艦から発艦していると思われるからです。

冒頭では、この映画がどのような方向に向かっていくかはわからないのですが、結局は戦艦対空母、どっちがいいのか?っていう争いになっていますよね。

冒頭のシーンでは山のような俊敏なグラマンが戦艦大和に向かってゆき、そして大和を沈没させてゆくわけですが、その事実そのものが戦艦よりも空母(空母は戦わないので、目的は違うのですが)が必要だったということが証明されているわけです。

そのあたりも見せ方もよかったな、と思います。

実写映画版「アルキメデスの大戦」のストーリーについて

原作漫画が面白いのかもしれませんが、この作品はなかなかストーリーが面白かったです。

とはいえ、冒頭の迫力に比べてその後の展開は「割りかし普通だな」と思ってみていました。

数学者が知識によって戦艦大和の建設を阻止する、という設定がまず面白いなと思うんですが、一方で映画の演出や脚色があまりにありきたりで、「普通の映画だなー」と最後の会議のシーンまでは特になんとも思わずに見ていました。

なんで普通なのかというと、全体的に戦艦派が悪、空母派が善としてパッキリと分けて描かれていたからです。

私はもともとあんまり善悪がはっきりと描かれた作品は好きではありません。とはいえ特に不快になるほどだめということもなく、「やっぱり善悪で片付けるのね」と思いながらも特に気にも留めずに期待もせずに観ていました。

そこまでで私が感じたことといえば、「山本五十六がやけに適当でバカっぽく描かれてるなぁ…」ということでした。

あとは、戦艦派の悪役のほうで田中泯が起用されるのは珍しいなということと、舞踏家ではなく役者として出てきた頃よりも演技が多少まともになってきたな…という事。(最初はひどかった)

でもそれらに対しての返答がまさかあるとはおもっていなかったので、会議の展開は非常に面白いなと思いましたね。

山本五十六はただのお人よしのバカではなかったわけですし、平山の最後シーンは特に素晴らしい。「おお!」と思わせる説得力がありました。

もともと私は山崎貴監督作は特に好きだということもなかったのですが、今回は期待しなかったのが良かったかもしれませんがなかなか面白かったなと思います。

突出して目立つ演出をするわけではないですが、最後まで緊張感を保った映画だったし、何よりも冒頭のシーンは素晴らしいですよね。

私は戦争映画が大好きなので、かなり興奮しました(笑)。

「アルキメデスの大戦」は日本賛美の作品ではない

山崎貴というと「永遠の0」や「Always 三丁目の夕日」のように、日本を賛美した作品、または賛美とはいかなくても、日本っていいよね、という気持ちを持たせてくれる作品が多く、そういうのが嫌いな私は今回もそうなんだろうなあ……と思って観ていました。

ところが、「アルキメデスの大戦」にはそのような意図は全く見られませんでしたよね。
これは山崎貴が良かったのか、原作がそうなっているのかはわかりません。

ただ、原作がリベラルだったとしても、映画なんて印象操作なんですからそんな感じの映画にすることは簡単だったと思います。

「アルキメデスの大戦」では、キャラクターの誰もが美化されないでただただ戦争の無情を伝えているのが素晴らしいですよね。

普通の映画だったら、いろんな不正などを経て作られた無用の産物「戦艦大和」が、しかしたくさんの兵士を乗せて沈没しちゃった。悲しい。兵士は偉かったね。みたいな描き方をしてもおかしくないんですよ。

乗組員とかにドラマを持たせたり、悲しませたりしてね。

ところが沈没シーンを冒頭にぶつけてきたから、乗組員のドラマは完全に省いている。

この終末を観客全員が知った中での最後に旅立つ戦艦大和と櫂直の涙は、最もこの悲劇を効果的に描いているなと思いました。

実写映画版「アルキメデスの大戦」役者について

【櫂直役】菅田将暉について

菅田将暉に関しては私はなんとも評価しづらいなと思っています。

菅田将暉はもともとかなり好きな役者で出演作はよく見ていたのですが、最近になって「この人どうなの?」と思うようになってしまって、それで半信半疑のまま今日この作品を見たわけです。

役者がすべてすごく上手である必要もないと思うのですが(器用な役者はそれはそれで魅力が薄いと感じます)、何となく菅田将暉に対しては厳しい目を持ってしまいます。

覇気は感じるし、かっこいいし、主役として申し分のないオーラはあるのですが。

一番感じるのは、菅田将暉のユーモアのなさでしょうか。
何をしていてもあまり笑えないんですよ。

私にとっては笑いをとれない役者は魅力がないと感じてしまいます。
逆に笑いを取ることができる人は、演技の技術が低くても高く評価します。

今回の「アルキメデスの大戦」も、要所要所に笑いをとれるシーンがあったのですが、今一つですね。

とはいえ、この作品の主演を演じるだけの話題性は持っているし、スター性もある。彼がやらなかったら誰がやったんだろう?と考えると代わりになる人は思いつかないので、菅田将暉でよかったのかな、とも思います。

昔から菅田が好きでいろいろ見ていたからこそ、もう一つパリッとした演技を観たいなと思ってしまうのでした。

【平山忠道役】田中泯

すっかり売れっ子役者になった田中泯
舞踏家としての彼は多少知っていましたが、彼が役者をやっていることを知ったのは「永遠の0」の時からです。

その時は、その演技があまりにも下手すぎて、「なんで役者になったんだろう…」と思っていました。(実際は2002年ころから映画には出演していたようです)

その後、朝ドラに出たり連ドラに出たりすっかり最近は売れっ子ですね。
普段は比較的シブみのある役が多かったので、先きほども書きましたが「悪」って感じの役どころは私は観たことがなかったんですよね。

最期には見せ場もあって、今回の田中泯はとても良かったと思います。
田中泯、見た目がかっこいいよね。

まとめ

というわけで、期待したらどうだったかわかりませんが、少なくとも期待していなかった私としてはなかなか楽しめました。

なんだかんだ戦争映画って盛り上がります(笑)

最期に、「アルキメデスの大戦」の関連書籍をリンクしておきます。
漫画も読んでみたいですね。

こちらは映画化を記念して発売された、コミック1~3巻セットです。

小説版も出ているようですね。