死ぬまでに観たい映画
人間ドラマ・社会派

映画【ルーム】感想・実話を基にした傑作映画

この映画はストーリーは単純なのでさらっと流していこうと思います。

なかなか解説甲斐のある映画で見ごたえ十分でした。

映画「ルーム」あらすじネタバレ

映画「ルーム」の前半あらすじ・監禁された「部屋」での母子の物語

この映画は全体的に、息子であるジャックの視線で語られます。

私はこの映画は「監禁されていた親子」の映画だと知っていたし、予告とかでも語られていたので分かった情報なんだけど、映画では特に説明がないので、本当に全く何も知らない人が見たら「この二人、どういう状況なんだろう?」ってなるところ。

二人で小さな家で、貧乏ながらも楽しく生活している様子が描かれます。で、観ていくうちにこの2人が監禁されているんだということが分かります。

息子はもう5歳
でも、この部屋で生まれて育ったので、外に「世界」があることを知らないんですね。

母親はある時、自分が高校生の時に誘拐されて、それからずっとこの納屋に監禁されていることを息子に伝えます。
そして、息子に「自分を助けてほしい」と願い、仮病をさせるわけです。

なんとか脱出しようとする二人はどうなるのか・・・という前半です。

映画「ルーム」の後半あらすじ・逃げた母子の物語が後半

結局母子は無事に保護されて、母の両親(ジャックの祖父母)も彼女を迎えに来る。実は両親は、娘が消えてから離婚して、母には新しい再婚相手がいたんですね。

で、母子は、もともと母が済んでいた家(今は祖母と再婚相手が住んでいる)に帰ります。

初めは何もかもに恐れをなしていた息子ですが、祖母の愛や祖母の再婚相手の優しさに触れてだんだん世界に慣れて来る。

しかし問題は母の方で、彼女は自分の失ったものの大きさに衝撃を受け、心を病んでいくのです・・・

映画「ルーム」ねたばれ感想

これはかなりいい映画でした。

途中でちょっと言いましたけど、この映画は基本的には猛烈にドラマチックにしようと思えばできるテーマなのにそれらを捨て、あえて感情の起伏を全く描かない淡々とした作りになっています。

しかし、だからこそ真に迫っているし面白かった。
そもそも、この映画が「脱出劇」にならなかったことに称賛の拍手を送りたいところ。

比較的あっさり脱出を描いたのは(まあかなりドキドキしましたけど 笑)、この映画の核になるテーマが「脱出劇」ではないからです。

じゃあ、この映画のテーマは何なのか。

映画「ルーム」に込められたテーマ

前に、「LION/ライオン~25年目のただいま~」の評でも書いたんだけど、実はこの「ルーム」と「ライオン」には共通する点がありました。

それは、どちらの話も「特殊な状況から原点に返る」というところです。

前者では、「Google Earthを使って、自分の故郷を見つける」で、後者は「子どもと力を合わせて監禁状態から脱出する」という点です。

しかし、「ライオン」はかなりつまらない作品でした。

詳しくはその評を読んでいただければわかりますけど、要するにこの映画は「特殊な方法」を描くことに終始して、人間ドラマをおろそかにしてしまったわけです。

一方で「ルーム」の方は、そういった点を完ぺきにクリアしていました。

「ルーム」では、17歳の頃に監禁された女性が監禁先で犯人の子供を産み、5歳まで育てたのちに脱出する、ということをストーリーの核に据えながら、あくまでも映画のテーマは「親子愛」であり、「子ども」という存在そのものだったりします。

本当に素晴らしい視点の置き方だと思いました。

この映画では、はじめからカメラを「子ども目線」にすることが多かったですね。

大人たちを見上げるカットや、ゆらゆら揺れる視線のカットで、この息子の精神世界を描くことに成功しているわけです。

この映画は、特殊な状況で育てられた子供を描いています。

しかしながら彼は、今まで母と誘拐犯の事しか知らず、外に世界があることすらも知らなかったわけですよね。

要するに、「特殊な状況」とは言っているけど、この映画が描こうとしていたのは結局完全に純粋な「子ども」そのものなんですね。

事件をモチーフにして、「子ども」や「人間」を描こうとしているわけです。

実は結構哲学的な作品とも受け取れます。本当に素晴らしいです。

映画「ルーム」の役者やキャラクター

この映画は出演している役者も例外なく素晴らしかったですね。

まずは、息子役のジェイコブ・トレンブレイの天才さ。全く圧巻です。信じられない表情をしてきたりします。

この少年の演技で最も衝撃的だったのは、祖母の再婚相手が飼っている犬を連れて来るシーン。初めて生で見る動物に、おびえながらも見せた嬉しそうな表情には、びっくりしすぎてひっくり返りそうになりました。

そしてもちろん、アカデミー賞を受賞したブリー・ラーソン。素晴らしいです。

しかし私としては心から、祖母の再婚相手に称賛を送りたい、
彼は本当に素晴らしかったですね。余りにもいいやつだった。

普通に考えたら、祖母と二人で暮らしていたのにイキナリこんな母子が転がり込んできて、相当メンドクサイはずですよね。

しかし彼はメンドクサイどころか孫にこの上なく優しく接する。

考えてみたらです。
祖母は愛する娘を失ったことで夫とも別れた状態で、そんなやばい状態の祖母と再婚しようって男なんです。

心から優しかったんだな、というのと、祖母の見る目の確かさに感服。

もちろん、役者も素晴らしい演技を見せています。

それにしても、この映画の核ですけど、子どもっていうのは本当はものすごく順応性が高い(個人差もありますが)のだけど、やっと助かった母が心を病んで自殺未遂にまで陥るところは本当に人間て難しいな、と思いながらも凄い説得力でした。

誰でもあんな風になるんだろうなーとか思いました。

映画「ルーム」オススメ度は?

これはかなり上質な作品です。

脱出劇だと思う人は勘違いですが、とりあえずすべての人にオススメしたいと思います。