就活映画【何者】を見ましたので感想です。
原作は朝井リョウで、既に読んでいます。

スポンサーリンク

映画【何者】のネタバレ感想

どす黒い映画でしたね。
まずは内容よりも、作りに関しての評価を書こうと思います。

【何者】の作りについて

冒頭に書きましたが、この作品は小説家朝井リョウが史上最年少で受賞した小説作品です。

この小説を読んだ時に、というか、朝井リョウの作品は「桐島、部活辞めるってよ」も読んで感じたのですが、とにかく気持ち悪いくらい完全に物語をコントロールしてきやがります。

物語?というか、登場人物の描写とか何もかも隅から隅までコントロールしてくるんですね。
物語を完全にコントロールするということは、読む我々の精神も完璧にコントロールしてくるということです。

この「何者」にも同じことが言えます。

この作品では、最後に拓人が実はずっと自分のTwitterの裏アカウントで闇ツイートをしていたということが公になるというオチがありますが、これは小説で読んだ時はちょっとしたミステリーを一本読んだかのようなものすごいどんでん返しをかまされた感じで衝撃を受けました。

どれだけ朝井リョウという人が、こちら側の精神状態までも完全に掌握しているのかが垣間見え、ちょっと不気味なくらいだと思いました。

で、この映画版「何者」は、小説版をうまく映画に落とし込んだな、という印象でした。
主人公の拓人が裏アカでツイートをしている伏線とか、二階堂ふみが演じる里香ちゃんのウザさとかは割とうまく出せていたなと思います。

ただ、当然というか、全然小説のほうが分かりやすいですけどね。
しかしながら割と淡々と作りながらこの小説のテイストを汚さずうまく映画にしてきたなーと思って感心しました。すごく難しいと思うんだよね、こういう映画の場合。
後半の拓人の裏垢が発覚してからの回想シーンは、舞台上で行われるという演出も面白いしかっこよかったですね。

余談ですが、「桐島、部活辞めるってよ」の小説も傑作ですが、映画はこっちのほうがよりよかったかなと思います。ユーモアもあって。

しかし、映画全体としてはとにかく重くて暗かったですね。
小説版のほうがもう少し軽い感じでしたけど、とにかく拓人が暗いし里香もメンヘラ感半端ないしでめちゃくちゃ疲れました。
こんなにみんな疲れているんだろうか、最近の若者は。

「何者」を見て内容で自分が感じたこと

まあ、作りの話はこのくらいにして内容のことに行きましょう。
大体小説と内容は変わらないので、映画と小説を今回はあまり区別なく語ろうと思います。

「何者」を見て一体若者たちはどう思ったのだろうか?
私はもう30過ぎてるので若者ではないけど、ずっとフリーターやってて就職もしないし、どれが近いかといえば岡田将生演じる隆良か、拓人の元友達のギンジに近いんだと思います。

私自身は別に自分に酔っているつもりはないけど、今33歳ですよ。
それなのにいまだに夢を(?)追っているように見えるだろうし、本当に痛いキャラに見られてると思うんですね。
まあ、あんまりというか、全然気にしてませんけど。

「意識高い系」「空気読めない」が嫌い

「寒い」ということを拓人とかは何度も口にしますよね。
里香を見ると、彼女が徹底した「意識高い系」であることがすごくよくわかります。隆良もそうです。

で、私には嫌いな言葉があって、それは「意識高い系」と、「空気読めない」です。
どちらも、私が言われてそうな言葉です。

「意識高い系」が嫌いな理由は、この言葉のせいでみんなが意識高くなりづらいからです。
実際に意識の高い人が「意識高い系」とか言われちゃったり、そもそも「意識高いってかっこ悪い」っていう感じになるからです。
実際に、「意識高い系」って人たちがすごく痛いしうざいのはよくわかります。私もそういう人は嫌いです。

しかし、この言葉によってしっかりと自分があらゆる方面に意識高くありたいと思っている人の考えまで阻害しているのではないかと思うんですね。
夢を追うのはかっこ悪いとか、そういう同調圧力にも似ているかもしれない。

本当に意識の高い人は別にぜんぜん気にしないんだと思うんだけど。

あと、「空気読めない」です。それこそ同調圧力だなーと思うわけです。

これもですね、気持ちはもちろんわかるわけ。実際に空気読めない人には本当にイライラするからね。
でも、空気を読むことをあまりにも重視しすぎの世の中ではないですか?
だから嫌いなんですね。

「いるいる」キャラで笑いたい

で、この映画の中では里香と隆良をか「いるいる」キャラが多くって。
ああいうイタイ人、いるよねw

でも、私もそういう人間の一人だから、別にぜんぜん嫌いじゃないし不器用だなと思うくらいでした。

ああいう「いるいる」キャラって笑い話にしちゃったほうがいいんじゃないかなーって思ったりもしますね。
宮藤官九郎のドラマ「ゆとりですがなにか」とかは完全にそれだったけど、マジでやったら結構伝わりづらいし伝わったところで重すぎる感じがある。

これは朝井リョウの原作にも感じました。
就活小説で、羽田圭介の「ワタクシハ」という作品があるんだけど、この小説はいい塩梅に笑いを入れてきていたのですっきりと楽しい感じになりました。
まあ、どちらがとは言えないけど作品のクオリティは「何者」のほうが上ですが。

アイロニ―が欲しかったかな、というところ。

ちょっと話はずれましたが、しかしこの作品の一番すごいところは、里香や隆良のようなキャラも別に何も考えていないわけではなくて、むしろすごい傷ついているのだということや、拓人のような見苦しさですら若者の不器用さとして肯定されているところです。

今の若者だったら誰もが誰かに共感できるんだと思うんだよね。

そんな若者生み出した社会への批判は?

でもこの作品が描いていることが、「若者の現状」であるということだけなのが気になります。
この作品に描かれる「自分が何者かわからない若者」っていうのは、今の現状であるということは分かるのですが、そういう彼らがどうして生まれたのか?という問題提起は読み取れなかった気がします。

就活って何だろう?
誰が正しくて、何を目指しているのだろう。

そんなことがこの作品では描かれていますが、若者の苦しんだ現状というのが一体何から生まれてきたのかという描写はありません。
別に、なくてもいいのかもしれない。

でも、私自身はそういう批判精神を見たかったかもなという部分があります。

この作品は、非常に現代の若者にやさしい作りにはなっていますが、社会の被害者としてこのような苦しみの中の若者が生まれているんだったら、何かもう一つ踏み込むことはできなかったのかなって思ったりするわけです。

映画「何者」まとめとおすすめ度

しかしながら、この作品は非常に面白い作品でおすすめです。
できることなら小説のほうをはじめに読んでもらいたいところではあります。

そのほかの日本映画の記事はこちら!

そのほかの青春映画の記事はこちら