押井守監督の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」鑑賞4回目にして、やっとどういう作品かがわかってきた。

細かいところまで紐解いて解説します。

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アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の設定

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」は、1995年の押井守のアニメ映画です。

声の出演
  • 草薙素子:田中敦子
  • バトー:大塚明夫
  • トグサ:山寺宏一
  • イシカワ:仲野裕
  • 荒巻大輔:大木民夫

※「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」では、そもそも時代の設定や義体、ゴーストに関する説明は全くない中で話は進みます。ちゃんと見ていればそれでも十分にこの映画を楽しむことはできますが、念のために映画では描かれていない設定も共有したいと思います。

企業のネットが星を被い電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来――

21世紀、第3次核大戦とアジアが勝利を収めた第4次非核大戦を経て、化学が飛躍的に進歩した世界が舞台。
サイボーグ化が発展し、人々は電脳化によって直接脳からインターネットにアクセスできるようになった。

生身の人間や電脳化した人間、サイボーグなど、様々な形態で暮らす人々だが、「人間である」と認識できる最低限度の「魂」的存在をこの時代は「ゴースト」と呼ぶ。

主人公:草薙素子は公安9課の実質的なリーダーである。

公安9課とは?

「攻殻機動隊」シリーズに登場する架空の機関。

内務省・首相直属の秘密機関で、少数精鋭の実力部隊である。
テロ・暗殺や、国家を揺るがす犯罪の捜査&警備又は要人警護も担当する、総合的な防諜機関。

アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のあらすじ

認定プログラマーの国外亡命を斡旋する外交官が、とあるビルで男と話をしていた。
男は「プロジェクト2501」の電脳バグについて外交官と話していた(「そもそもあれは本当にバグだったのか?」)が、その会話を素子が盗聴していた。男は亡命を希望していた。

公安9課の任務は、この外交官の暗殺。素子は光学迷彩を用い、任務を遂行した。

外務省がガベル共和国との秘密会談を控えたある日、外務大臣の通訳の電脳がハッキングされる事件が起きた。
元々とある情報筋から、正体不明のハッカー「人形使い」がネットの端末に介入し始めるとの警告があり、出席者全員に網を張っていたことから発覚した。

会談を襲撃させて妨害する目的と推測される。

素子は、すでに犯人の逆探知位置へ追跡に向かうバトーとイシカワと合流すべく、トグサと共に出発した。

人形使いは最新の電脳ではなく、旧式のHA-3を利用していた。
最新のモデルであれば逆探知は難しいが、それだと前軍事政権の指導者・マレス大佐に疑いがかかるため、もしくはマレス大佐に疑いをかけないように見せかけるためにあえて旧式を使用していると推測できる。

マレス大佐は亡命を希望し、現在日本に滞在しているのである。

人形使いは一般人を使い、ゴーストハックの場所を読まれないようにしながら逃亡していた。

9課は犯人を逮捕するも、ゴーストハックされていたので何の情報も得られなかった。

利用された一般人は、子供や家族の記憶を疑似体験として植え付けられていた。
トグサたちは彼にそのことを告げ、説得していた。

素子の頭の中にある疑問

サイボーグでありながら東京湾でダイビングを繰り返す素子。
彼女の様子に、バトーは心配を募らせていた。

「恐れ、不安、孤独、闇、それから、もしかしたら希望」

素子は海の底をそのように表現する。

今、我等
鏡もて見る如く
見るところ
おぼろなり

バトーと素子の頭に声が響く。

「メガテク・ボディ社」の義体ハッキング事件

ある日、素子にそっくりのサイボーグの女性が車にはねられ、公安9課に運ばれてきた。
彼女は「メガテク・ボディ社」のラインが勝手に作り上げた義体で、逃走したのち車にはねられて発見されたものだった。

メガテク・ボディ社とは

政府御用達の義体メーカー。作っている義体は全て機密扱いである。

素子の義体や、バトー、イシカワの一部もこの「メガテク・ボディ社製」である。

勝手に作り上げられた人形である女の頭には脳は入っていないが、なぜかその中にはゴーストらしきものが存在しているという。

犯人は最高機密の防壁をくぐり抜け義体を組み立てゴーストラインのあるプログラムを送り込み、さすぐに直ぐ捕まる様に仕組んだのである。何のために?

素子は翌日、その義体にダイブするという。

素子はバトーに語る。
もしかしたら自分はもともと存在すらしておらず、疑似体験の記憶のみを植え付けられている人形なのではないか、と。

「人形使い」誕生の真相

外務省条約審議部(公安6課)の中村部長と一人の白人が荒巻の元へ、義体を回収にやってきた。
中村といえば、冒頭に男を亡命させようとしていた外交官を逮捕しようとしていたところを、9課が射殺したのである。

不審に思ったトグサは駐車場の中村達の映像を確認。光学迷彩で姿を隠した人物がともに侵入したことに気づく。

共にやってきた白人のドクター・ウィリスによって、義体の中にいるのが「人形使い」であることが明らかになる。

中村によると、6課は「人形使い」の出現当初から追い続けており、膨大なデータをもとに、対「人形使い」用の防壁を作り上げ、彼がどこかの機密義体に入り込むように仕向けた。
「人形使い」を義体の電脳にダイブさせ、その間に本体を暗殺するというのだ。

その時、「人形使い」は話し始める。

今までボディが存在していなかったので、死体は出てこないという。
つまり、彼は元々ボディを持たない「ゴースト」で、一生命体として政治的亡命を要求する。

「私のコードはプロジェクト2501
私は、情報の海で発生した生命体だ。」

その時ラボが襲撃され、義体は持ち去られる。
しかしそれをあらかじめ読んでいたトグサとバトーが、逃亡する車に発信機を埋め込み、追跡。

「人形使い」は、逃げ込む先として9課と縁の深いメガテク・ボディ社を選び、彼が亡命を希望すると6課はそれを拉致したのである。

イシカワから荒巻に報告が入る。

6課中村と同伴したドクター・ウィリスは、とある外務省のプロジェクトを担当していた。実はそのチームのメインプログラマが、冒頭で外交官を暗殺した時に部屋にいた男だったのである。

しかも、このプロジェクトがスタートしたのは、「人形使い」が出現する1年前だという。

イシカワは推理する。
実は「人形使い」は外務省が作り上げたプロジェクトだったのだが、それを制御できなくなってしまったため慌てて回収を計っているのではないか。

その事が「人形使い」の口から外部に漏れたら国際問題になってしまうため、荒っぽい手を使って9課から義体を奪ったのなら説明がつく。

そのプロジェクトの名前は、「2501」
「人形使い」が口にしたコードと同じものだった。

「人形使い」と素子の対峙

二手に分かれた目標を、9課も二手に分かれて追跡。
バトーが追った目標はスカで、素子の目標が本命だった。

バトーはすぐに素子の元へ援護に行く。

「人形使い」は戦車に守られていた。
素子は少ない装備で応戦。戦車の弾切れまで粘り、すんでのところでバトーが戦車を破壊した。

義体が壊れた素子は、「人形使い」にダイブする。

素子の脳に入り込んだ「2501(人形使い)」が話始める。
プロジェクト2501によって生み出された存在は、「ゴースト」を作り上げたが、入力者はそれをバグと判断してボディに移した。

彼はもともと素子の存在を知っており、彼女に近づくためにメガテク社の義体に逃げ込んだのだ。

2501は、彼女の融合したいというのである。

その時、二つの義体は破壊された。
が、素子の脳核はバトーが回収し、子供の義体にそれを埋め込んだ。

目が覚めた素子はバトーの部屋にいた。

「童の時は、
語ることも童の如く
思うことも童の如く
論ずることも童の如くなりしが
人となりては、童のことを棄てたり」

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」ネタバレ解説

難解な「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」

じっくりとストーリーを確認していて、実に難しい!ややこしい話だと改めて思いました。
一度観ただけでこれ分かる人いるのだろうか?

ちゃんと内容を追ってみていれば、非常に理論的で無駄のないプロットだという事はわかりますが、なかなか難しいですね。

しかしこの映画は、細かいところがあまりよくわからなくても感覚的に楽しめる要素が満載です。

登場人物たちのかっこよさ(というか、素子のかっこよさですが)やアクションシーンの魅力、背景の美しさや世界観などなど・・・

あ、そうそう、登場人物たちが語るムズカシイ言葉の論理みたいのも、まあよく分からないながらも聞いているだけでなんか気持ちいいっていうのはありますよね(笑)。

私もかつてはそんな感じで楽しんでいました。

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のテーマ

しかしこの映画のテーマというのは、確かに非常に哲学的ではありますがシンプルなものです。(そもそも哲学的な主題というのは、押しなべてシンプルなものが多いのかもしれませんが)

作品の中でも2501が言っていますが、「生命の定義」といったところでしょうか。

主人公の素子は、今や脳核以外は全て義体化したサイボーグ。
脳核にゴーストが宿っていることでのみ、自身のアイデンティティを確立できているわけです。

しかし、劇中で「人形使い」に利用された清掃業者の男のように、「記憶」そのものが実は誰かが作り上げたものだとしたらどうだろう?

素子はそんな疑問に憑りつかれているわけです。

この時代、身体は全て義体化できても、「魂=ゴースト」だけは作ることができないと思われています。しかし素子は、もし電脳がゴーストを作り上げることができたら、一体何が「自分」を定義してくれるのだろう、と疑問を持っているわけです。

そして実際、この作品でもっとも重要な登場人物(?)である「人形使い」はボディを持たない生命体として自信を主張しているわけですよね。

「人形使い」は、人間がプロジェクトを遂行する中で偶然に生まれた「人口のゴースト」です。

彼はハッカーとして人間に組み込まれたプログラムの中にいながら、膨大なネットの情報にアクセスして自分がどういう存在なのかを「学習」します。

しかしプロジェクト運営側の人間はその行動を「バグ」と判断し、そのゴーストを義体に移植するわけです。そして彼はネットの世界を生き始める。

「生命体」と主張する2501

人工的に生まれてしまったゴーストは、自分を「生命体」だと主張します。
これは素子にとっては衝撃的なことでした。

何しろ、素子には「ゴースト」があって、昔の記憶などもおぼろげながら存在している。にもかかわらず、彼女は自分の存在を疑っています。

しかし、実際に生命体として生まれたわけではない、人口のゴーストである「人形使い2501」は自分を堂々と「生命体だから亡命させろ」と要求するのですね。

2501がどうして素子に近づきたかったのか。
それは、素子が「遺伝子」を持っている「人間」だからです。

2501は自分を「生命体」だと確信していますが、同時に不十分な存在だという事も主張していますよね。

何故なら、彼には遺伝子が存在せず、コピーは遺せても、子孫を残すことができないからです。

彼は、生命体の基本構造を自分は持っていないから、融合したいと申し出るわけです。

素子がどうして「2501」との融合に応じたのか?

作品でははっきりと描かれていないにせよ、結局素子は2501と融合します。
これは、一体なぜだったのか?

素子自身、「融合は2501にばかり有利ではないか」と主張していますよね(それに対して2501は、「もっと自分を評価しろ」といっていますが)。

しかし素子にとってはこれはとても重要なことでして、そもそも2501が何を素子に言っているのかといえば、「お前は人間(生命体)だ」と言っているんですよ。

もっと前に素子によって述べられている通り、彼女にとって「電脳がゴーストを生み出すことができるようになったら、どうやって『自分』を信じればいい?」と、「人口のゴースト」を恐れるような発言をしていました。

しかし、素子と繋がった「人口のゴースト=2501」は、自分を「生命体」だと主張しているにもかかわらず、「遺伝子を持ち、生殖機能がある素子と融合したい」と要求してきたのです。

つまり、これ以上素子を「一生命体」として認める事実は他にないわけですよ。

結局、素子はゴーストと融合しますが、彼女の核となる部分は消えているわけではありません。

新約聖書「コリント人への手紙】第13章の引用

途中でバトーと素子の頭に流れた声は、ゴーストの声なのかなんなのか、ここは解釈が難しいのですが、この引用は新約聖書からの引用です。

童の時は、
語ることも童の如く
思うことも童の如く
論ずることも童の如くなりしが
人となりては、童のことを棄てたり

今、我等
鏡もて見る如く
見るところ
おぼろなり

(然れど、かの時には顔を対せて相見ん
今わが知るところ全からず、然れど、
かの時には我が知られたる如く全く知るべし)

最後の()の部分は本編では語られていません。

簡単に言えば、

「子供の時は、子供らしく考えているものだが、大人になると子供時代の事を忘れ去ってしまう。私達は今、鏡で見るように朧げに世の中を見ている」

とても単純に言うとそのような感じです。

まとめ

いやあそれにしても改めて、面白いとしか言いようがないですよね。素晴らしいです。

この調子で「イノセンス」も再見してみようと思います。

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