門脇麦主演の【二重生活】、現代に生きる若者の心に根差す空虚感を描いた作品です。空っぽってなんだ?

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映画【二重生活】の感想

門脇麦演じる珠ちゃんが、尾行しようかな~どうしようかな~という段階で、近所に住む石坂さんという男性をためしに尾行してみる。

そしたらこの男は、妻子があるにも関わらず別の女と不倫してるわけですよ。

で、この不倫の発覚の描写がものすごくて、珠ちゃんは、ちょっと試しの筈だったのにいきなり石坂は女と会って、それでも飽きたらずなんと外でセックスを始めるわけですよね。

前述のあらすじはAmazonからの引用ですが、「彼の秘密が明らかになってゆくにつれ」とかじゃないですからね。いきなり野外セックスですからwww
衝撃的過ぎて、そりゃあ尾行がやめられなくなるのは分かるわwwww

とはいえ、この野外セックスはあまりにもファンタジーすぎでどうかなぁ?と思った。だから、正直なかなか物語に入っていけなくなった。
物語の冒頭で掴もうとしすぎた感がある。

緊張感が漂う前半部分の尾行

しかしながら、いざ本格的に尾行が始まるとなかなか緊張感があって面白くなってきました。

この尾行シーンの描き方はなかなかよくて、ほぼ完全に珠ちゃん目線からの描き方になっているんですね。
つまり、途中までは石坂に関して珠ちゃんが知り得ないことは我々も知り得ない。

石坂が話をしている会話なども結構がんばらないと聞こえなかったりもするので、非常に臨場感も緊張感もあるわけです。

映画的にこの技法は、しかしそれほど珍しいものではなく、有名な作品としてはヒッチコックの「裏窓」があります。

この作品は、自分の向かいの部屋で起こった殺人事件を、部屋から出ることなく解決するという話で、カメラは一度も自分の部屋からは出ず、つねに窓から向かいの部屋を覗くという形で物語は進行します。映画史に残る画期的な作品です。

また、ロマン・ポランスキーの「戦場のピアニスト」も同じような作り方をしていました。やはり傑作。

観客を非常に突き放した作りになるのですが、私はこーゆーの大好きです。
なので、いざ尾行がはじまってからはなかなか楽しめました。
(ただ、ワンシーンだけ石坂の主観で描かれたところがありました。狙いは不明でした)

で、いざ不倫相手との泥沼が始まって、珠ちゃんとしてはますますのめりこんでゆくわけです。自分の生活を犠牲にしすぎたおかげで、彼氏にも振られるしまつ。
せっかくあんなにかっこいい彼氏なのに(菅田将暉)、薄情で女々しい男であった。

珠が吐露する、「私とは何か」という問い

この作品はもともとかなり哲学的なテーマをはらんでいます。
初めから珠ちゃんの机の上に、わかりやすくサルトルの「嘔吐」が置かれている。最後に至るまで結局実存主義ということに対する話だった。

「実存主義」というのは、サルトルが著書「嘔吐」の中で提唱している哲学思想です。まあ、どういったものかは「嘔吐」を私は未読なのでなんとも言えません。現在絶賛積ん読中です。

珠ちゃんが石坂とホテルに行ったときに、「自分の中には常に空っぽが存在する」という話をしていて、たぶんそれはすごく重要なシーンなのだと思うんですね。
それまでは珠ちゃんは一度も誰にも自分の本音を話さない、この時に初めてそれを打ち明けるわけだけど、たぶんそれは今までに一度も誰にも言ってなかったことだと思う。
しかし、それを聞いた石坂は、「陳腐なストーリーだ」とはねのけて、珠ちゃんは泣き崩れる、というわけでした。

「心の空虚」は全体的にこの作品のテーマの一つになっています。
しかし、私としてはこの「空虚」みたいなものがちょっとよくわかんなかったですね。なので、このシーンのこともよくわからないし、なんで珠ちゃんが泣いたのかよくわからない。

多分、どっちかってゆーと石坂のほうの気持ちに似てたんだと思います。
「陳腐なストーリーだな」と。

心に空虚を持っていた時期もあったとは思うんだけど、そういう場合はとりあえず空虚ぶってないでなんかしてみたほうがいいと思っていた。

もし、珠ちゃんの話のほうに共感したのであれば、「陳腐」といわれたときにもう少し衝撃を受け、泣き崩れる珠ちゃんに感情移入したのかもしれない。
しかし、私にはできなかったので、「おっ?なんで泣いてるんだ」と思ってしまいました。

結果として尾行したこと自体は面白いし、しかもそのあと教授を尾行することになるわけだけど、その展開はなかなか面白いと思いました。
理解のない彼氏(ただし、イケメン)のことなんかほっといて、とりあえず今後もたまに尾行したりしたら非常に変態的で面白い人物が生まれるであろう。

(この映画のモチーフにもなったソフィ・カルという方は、実際に「意味のない尾行」でフランスからイタリア?とかまで行っちゃったとかいう飛んでるひとです)

リリー・フランキー演じる教授がなかなかいいのだが

時々サブストーリーとして登場するリリー・フランキーが非常に面白い。
しなびれた教授の役だけど、妻からのお弁当を嬉しそうに写真を撮ったりするシーンなどは魅力たっぷり。

面白いなあ、と思っていたら、それもまた虚構のお話で、なんというか救われない感じでしたね。
世の中、あんなに不幸な人ばっかりなのだろうか??

まあそれはともかく、妻が実は代行だったということが分かるのは、指輪を置いて出てゆくシーンですね。そのシーンで大体、この夫婦の偽りの形っていうのは理解できると思うんだけど、そのあとも結構な尺を使って、妻がどういう人で、どういういきさつで教授と出会ったのかとか描かれている。
あれは完全に蛇足だと思う。

大体の人は指輪を返して「お世話になりました」で十分に通じるからです。

この映画は2時間7分ほど使っていますが、本当だったら1時間45分ほどで十分見ることができたんじゃないのかなーと思います。

役者達の評価

門脇麦は顔が非常にいいし、演技もいいし、色気もあるので面白いなーと思います。
もともと結構好きだけど、これからが楽しみですね。

最近はコミックスの映像化ばかりに出まくっててすっかりつまんなくなった菅田将暉は、ヘルメットみたいな変な髪形をしていますがなかなかよかったです。まあ、キャラはうじうじしてどうかと思うけど、イケメンで大変良い。

リリー・フランキーは前述の通り魅力的。

長谷川博己はどうかなー。
最初はかなりヘタだなーと思ったけど、まあ全体を通じてはそれほど悪くなかったかな~?どうだろう。

まあ、けっこうキャラがいい感じなのでよかったのかもしれない。

長谷川博己は基本的に何を見てもおんなじ感じっていうか、背が高くてイケメンでオーラ全然消せないですよね。悪い意味で。
あんまり父親って感じがしないんですよね。既婚者だからこその生活感のある色気みたいのあんまり感じない。

でも私はとにかくシン・ゴジラが好きだ。というわけで最近は結構長谷川博己支持者になっている。
浮気がばれた暁には、「矢口、まずは君が落ち着け」とか言って水を差しだしたくなった。

【二重生活】のおすすめ度

まさかの最後にシン・ゴジラネタに持っていかれてしまった感がありますが、とりあえず結構まあまあ面白いことは面白かったと思います。
こころに空虚感を抱いた方だったら、共感出来るんじゃないですかね……よくわからないけど。

ちなみに、原作のことは何も言いませんでしたが、未読ですけどこれ結構面白そうだなーって思っています。読んでみます。

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