ベルニーニはバロック芸術の最高峰といわれた建築・彫刻・絵画の巨匠です。
バロック期のローマは彼によって美的に進歩したといっても過言ではないかもしれません。
ベルニーニとはいったい誰?
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニは1598年~1680年までを生きた(結構長生きですね)ローマの芸術家です。
若いころから彫刻に才能を発揮していたのですぐに見いだされたそうです。
実は私は美術は大好きなんですが、ベルニーニのことを知ったのは最初にローマに来てからでした(今は三度目です)。
それって一体なぜかと考えてみると、ラファエッロやミケランジェロやレオナルドと違って作品は主に超絶技巧の彫刻だったり建築物だったりしたので、他の場所に移動することができてないんだろうなーと思います。
ベルニーニの作品を私が初めて見たのはボルゲーゼ美術館で、その彫刻表現のあまりの繊細さに度肝を抜かれました。
なんかすごいんですよね。葉っぱの一枚一枚も掘り出してたりして。
普通の人だったらこれを見て感激してブラボー的な感じになると思うんですが、まあ私もそんな感じだったんですけどあまりの凄まじい細かさにちょっと笑ってしまうくらいでしたね。
そんなベルニーニの作品ですが、様々な美術館で見られるのはもちろんの事、教会にもたくさん作品はあるので無料で見られます。
今回は、特に「無料で見れる」という設定で、ローマにあるベルニーニの作品を特集します!
ちなみに、ベルニーニ作品はもちろんボルゲーゼ美術館など数多の美術館にありますが、今回ご紹介するものは全て無料で観られる、という設定にしますね。
【巨匠ベルニーニ】作品を無料で観れるローマの教会
サンタンドレア・アル・クイリナーレ教会
こちらは建築作品です。
ベルニーニ自らが「代表作」と認めた自信作だそうです。
クイリナーレ宮の裏(?)にある小さな教会です。ほんとに小さい。
しかし私もこの教会がベルニーニの作品の中で(まあ彫刻とかいろいろありますけど)一番好きかもしれません。
かなり狭い敷地に作らなきゃならなかったので、奥行きより幅のほうが広いというのが特徴です。
沢山教会を見ている人だったら一目でその斬新さに気づくと思います。
もう屋内が狭すぎて全体像が全然カメラに収まんないんだけどね。
この天使の像はアントニオ・ラッジという人の作品らしいです。
↑この天使の像もラッジのものだそうです。
この教会は本当に美しいし形が面白いので大変おすすめです。
そしてこの教会のすぐそばには、ライバルでもあったボッロミーニの小さな教会もありまして、そちらも大変見ごたえがあるのでおすすめします。必ず両方見ましょう。
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会
こちらも先ほどの教会の近くといえば近くなので抱き合わせてご覧になれるかと。
共和国広場駅から徒歩圏内なので、割とアクセスはいいです。
美しい教会ですが、私が訪れた時にちょうど宗教行事をしていまして、中には入れたんだけどあまり近づけず。
リベンジしようと思って別の日に行ったら日曜だったのを忘れてて、ミサをしていて入ることもできませんでした。
写真は撮れなかったのでWikipediaから。
「聖テレジアの法悦」です。
まあとにかくベルニーニの作品の特徴って言ったら「わかりやすい事」だと思います。
誰が見ても驚くような質感というのもありますが、あと天使の顔や姿がかわいいっていうのもあるよね。
それにしてもこの質感。石を布地に変える錬金術でも持ってたのかね。
天使の顔がかわいいといえばほかにも素敵な教会がありました。
サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会
トレヴィの泉から徒歩5分しないくらいで行ける教会です。
この教会にベルニーニによる二体の天使像が保存されています。
(もともとはサンタンジェロ橋の天使像だったそうです)
何が特徴といって、とにかく天使の顔がかわいい。愛らしい。
そしてフォルムの美しさが完璧。
元は橋に置くはずだったけど、あまりの美しさに雨にさらせさせたくないと、コピーを作るのを命じたらしい。
分かるわ!これ外に置くのは無理!!笑
これを言ったら語弊があるのかもしれないけど、完全に萌え系ですよね(笑)。
萌え系というか、アニメ的というか、とにかくもうかわいらしさが写実を超えてファンタジックなんだよね。
最近私は、キリスト教芸術そのものが平たく言えば二次制作なので、いかに自分の解釈で素敵にできるかが問題だとすると、ベルニーニのこの天使像は5000点満点って感じがします。
ようは分かりやすいんですよ。
かわいいものが好きという生理的欲求を完全に満たすという意味では私もこの作品が大好きで、しかし別の分人たる私は「こんな分かりやすいのは芸術じゃない」とも言っている(笑)でも好き。
低い位置にあるので、比較的近くで観れますよ。
サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
フラミニオ駅からすぐのポポロ広場に面した教会です。
見た目はすごい地味ですが、中には名画や彫刻がたくさんあってものすごいことになっています。
カラヴァッジョの名画やラファエロが設計した礼拝堂や天井モザイクがあります。
そのほかにもカラッチやピントゥリッキオの作品など。もう美術館みたいですね。
ラファエロとカラヴァッジョの作品は別の特集で紹介するとして、ここではベルニーニの3点の彫刻をご紹介。
ラファエロの設計した礼拝堂にある二点。
礼拝堂の正面左にあるのがこの「預言者ハバスク」
そしてこれが後ろにある「獅子と預言者ダニエル」です。
礼拝堂の4隅に像があるうちに2点がベルニーニでどれかはガイドブックに載ってなかったんだけど、まあ見ればすぐわかります。
それにしても日曜日に行ったら、とにかくここはずっと団体が陣取ってました。
しばらく待ってやっと中に入れたら別の団体が入ってきて、私を取り囲むように解説を始めてた。ちょっとの間無視して閲覧しましたけど。
団体は別にいいけど個人を軽んじる傾向があるのはイライラしますね。
そしてもうひとつ、見落としがちですがオルガンの下にある天使像がベルニーニの作品。だと思います。
ベルニーニっぽいですね。オルガンのデザインとぴったりで愛らしいです。
サン・フランシスコ・ダッシージ・ア・リーパ教会
今までの教会は比較的それぞれが近い場所にあったので、それだけ見るなら1日あれば十分ですが、最後の教会は少し離れたトラステヴェレなのでちょっと足を伸ばす必要があります。
町の中心だったら、ヴェネツィア広場からトラム8番に乗るのが一番かなあという感じ。コロッセオからだったらトラム3番ですかね。
この教会自体は小さくて古い感じで別にそんなに壮麗な感じもしないんだけど、そこにベルニーニ晩年の作品「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」が残っています。
80歳近い年齢で作った作品とのことです。
うーん、エロい……
美しいが、エロい。
やはり芸術には自身の性的嗜好が反映されるので、ベルニーニの女性像っていうのはどれも相当のものだけど、そういう嗜好があったんだろうなと思ってしまう。
サン・セバスティアーノ聖堂
教会の最後はベルニーニの遺作とされている作品です。
これがあるのはさらに市街地から離れた、旧アッピア街道沿いで少し不便な場所です。
バスなら118番しかないかな。
しかし、地下には大きなカタコンベ(地下墓地)があったり、そもそも旧アッピア街道のこのあたりは見ごたえがあるのでおすすめです。
古代ローマ・アッピア街道の歩き方とみどころ~カラカラ浴場・カタコンべ
ここにあるのがベルニーニ82歳の時の遺作です。
この髪の毛やら布の感じがまさにベルニーニ。
しかし、これは私の記憶の話なんだけど、確かこの作品はベルニーニの作品である可能性が非常に高いということで、確実にそうだとは言えないってことだった気がするんだよね。
真偽のほどはいかに。
さて、以上が私が知る限り教会で観れる主なベルニーニ作品。
あと、いくつか噴水とかを作っているのでご紹介します。
【巨匠ベルニーニ】作品を無料で観れるスポット
ナヴォーナ広場【四大河の噴水】
ナヴォーナ広場の中心に位置するかっこいい彫刻です。
ローマみどころ観光名所解説!ナヴォーナ広場・パンテオン・トレヴィの泉
スペイン広場【舟の噴水】
スペイン広場の中心にある、華麗な噴水です。
これはテヴェレ川のワインの運搬にあたった小舟をかたものだそうです。
私はこのあたりはほぼ完全にスルーしていたので、画像はWikipediaから拝借(笑)
バルベリーニ広場【トリトーネの噴水】
あらら、暑さに負けて噴水に入ってる人がいますけど。
(この年は猛暑でこういう人が絶えなかったそうで問題になっていました)
このトリトーネの噴水は、ベルニーニの作品の中でも好きなものです。
なんでかというと、形が変だからです。
今までのベルニーニの作品を見ていただければわかると思いますが、普通は彫刻っていうのは左右非対称が美しいとされていることが多いですよね。
しかし、この作品はほぼ完全な左右対称。
変でいいです。
私は別に彫刻に詳しいわけではないので、この作品がどうしてこんな風に左右対称に作られたのか全然わからないんだけど、面白いので好きです。
4頭のイルカに支えられたって書かれてるけど、この下のやつイルカなんですね。
なんか気持ち悪いな(笑)そこもまたよいです。
ミネルヴァ広場のオベリスク
モチーフが象なので、急にベルニーニらしさが見えない(と私は思う)けどなかなかユニークな作品です。
この象を彫ったのはベルニーニの弟子らしいんだけど。
じゃあベルニーニは何をしたんだ?デザインか?
私は象のモチーフが好きなのでこれはいいですね。
法王アレクサンドル7世の在位を記念して作ったそうです。
ベルニーニ作品を堪能するなら「ボルゲーゼ美術館」は必須!
ここまではローマで無料で観れるベルニーニ作品を紹介しましたが、当然の古都ながらベルニーニ作品は美術館でも見ることができます。
いや、むしろローマにまで行ってベルニーニを美術館で見ないなんてもったいなさすぎ。
ローマでベルニーニを見るのに絶対に外せない美術館が「ボルゲーゼ美術館」です。
こちらの美術館には、神の化身か?と思うような異常な表現力の彫刻が保管されています。
あまりの細かさに、なんか呪われてるのかなこの人……と思ってしまうほどでした。
ベルニーニ作品を写真集で見る
ベルニーニに限らず多くの美術書に言えることですが、画集と言われるものは日本のものよりも圧倒的に海外製が良いです。
私も多くの画集を買っていますが、ほとんどが海外ものです。
ベルニーニの生い立ちなどを取り上げた本もいくつかあるのですが、絶版になっているようで少々値が張りますね。
であれば、ベルニーニなどが時代を築いたといえるバロック美術を取り扱った本をお勧めしておきます。
ベルニーニが好きな方は、きっとバロック美術そのものが好きであるはずです。
無料で観れる【バロックの巨匠ベルニーニ】作品まとめ
いかがでしたでしょうか?
これは私が個人的にガイドブック(地球の歩き方)を見たり記憶をたどって書いた記事になるので、何か間違ったところがあったらご指摘ください。
さらに、「こんな作品もあるよ!」なんていう情報があったら伺いたいです。
ただまあ、私自身がベルニーニどれくらい好きかというと、かなり好きですけど、私の求めている方向性とは違うかなというのが本心です(笑)。
建築とか存在感で言ってもボッロミーニのほうが好きかな。
まあ作品の質も量も全然違うから比べづらいけどね。
ベルニーニの彫刻作品では二人の天使がかわいくて好きだけど、という感じです。