映画【メッセージ】難解映画を完全解説&ネタバレ感想

2017-09-25外国映画

ドゥニ・ビルヌーブ監督「メッセージ」があまりにも素晴らしかった。

だけど多少複雑なので全貌が分りづらいかなーというのと、私の記憶の整理のためにもこの映画の内容をできる限り詳細に解説します。

f:id:nitari-movies:20170522173218j:plain

スポンサーリンク

映画【メッセージ】ネタバレと全解説

 ※基本的に記憶を頼りに書いているものです。間違いなどがあったらコメント欄にてご指摘いただけると幸いです。

突如現れる謎の飛行物体・敵か味方か? 

言語学者のルイーズは娘のハンナとの思い出を胸に、今は一人で湖畔に暮らしている。
ハンナはルイーズの娘だが、まだ若いうちに難病で亡くなってしまったらしい。

ある日、世界各国12都市に謎の巨大宇宙船のようなものが突如現れる。全くの正体不明の物体だが、ルイーズは国家から調査の依頼を受ける。

現地にルイーズが向かうと、各国12都市はそれぞれの国を挙げて情報共有をしながら調査をしているようだが、上手い連携は取れていないように見える。

国から呼ばれた学者はルイーズと、物理学者のイアンの二人だけだった。

二人はほかの調査員と共に「宇宙船」の中に入る。
「宇宙船」の中は重力が地上とは違ったもので、中にはタコみたいな異生物がいた。

2度目の来訪でルイーズは、ホワイトボードに自分の名前を記して彼らに見せる。すると彼らの一人が触手のようなものを差し出し、墨で描いたような大きな丸を描いた。

まるで村上隆の現代美術みたいだった。

f:id:nitari-movies:20170522173633j:plain

Takashi Murakami, Ensō: Zen, White and Black, 2015, Galerie Perrotin | Monochrome | Pinterest | アートワーク、ブラック、禅

ルイーズやイアンのコミュニケーションは非常に慎重だ。

見かねたウェバー大佐は、急ぐように伝える。しかしルイーズは、「そもそも彼らにはまず『質問』の概念を教えなければならない。『目的』の概念そのものがあるかも不明」と伝える。

ルイーズたちは宇宙船の事をヘプタポッドと名付け、二人の異生物にアボットコステロというニックネームを付けて調査を続ける。

時間をかけて文字を解読し、コミュニケーションを図ってゆくルイーズ。多忙になればなるほど、ハンナの記憶が唐突に頭をよぎるようになる。

文字の断片をつなぎ合わせて何とか相手の意思を理解することができるようになり、ルイーズはある日彼らがどうして地球に近づいたのかを問う。

すると返答は「武器を提供」だった。

この言葉を重要視するウェバー大佐や政府。

ルイーズやイアンはこの言葉についても、「武器を提供してほしいのか、武器を提供したいのか不明、そもそも『武器=道具』ということかもしれない」と主張するが、政府もついにしびれを切らし、交戦の準備を進める。

そしてあろうことか、ヘプタポッドの中で爆弾を爆破させてしまう。
その直前に彼らは今までにないほどの大量の文字を残していた。

各国で独自に進めてきた調査の中で中国のシャン将軍が、彼らのメッセージは人類に対して好戦的なものだとの解釈を示すと、各国は情報共有を完全にやめてすべての国が無線を遮断する。

各国軍が戦闘態勢を見せると、ヘプタポッドは地上800メートルの部分で地面と平行になって浮かびあがり動きを止めた。

 彼らと我々地球人の「時間」とは

その日、ハンナの記憶が今までになく鮮明に浮かび上がる

ティーンエイジャーのハンナがルイーズに宿題を投げかけるのだが、ハンナは「数学的なことならパパに電話すれば?」と冷たく言い放ってしまう。
その時まで彼女の記憶の中に、ハンナの父の姿はなかった。

現在のルイーズはその記憶から重大なアイディアが浮かび、それを確かめようとするかのように一人でヘプタポッドの元に向かう。

小型ヘプタポッドみたいな迎えの乗り物に乗って、コステロに会う。

彼女はコステロに、「アボットはどこ?」と聞くと、「死の最中にある」と答える。
そこで彼女は「私の記憶の中の少女はだれ?」と問う。

実は私たち観客がルイーズの死んだ娘だと思っていたハンナという少女は、実はルイーズがこれから生む娘のことだったのだ。

彼は彼女に伝える。

「3000年後に危機がある。その時に君の持っている『武器』が重要な役割を持つ」と。

彼らの言語文化の持つ「時間の概念」は、人間社会の持つ「時間の概念」とは全く別の物なのだ。彼らにとっては3000年後も現在も同じ座標の上にある。

私たち人間にとって時間は「流れる」ものだけど、彼らにとって時間はそこに「ある」ものだということらしい。

彼らがルイーズに主張していた「武器」とは、彼ら「言語」の事だったのだ。

言語学者である彼女は彼らの言語を読み解く力がある。
彼らの言語を読み解くことは、すなわち彼らの持つ「時間の概念」を共有できることなのだった。

ルイーズは「未来」を思い出していた。

自分の愛する娘はこれから生まれてきて、不治の病にかかって死んでしまうのだ。夫は物理学者……イアンである。
ルイーズはイアンにある段階で、娘が不治の病にかかって死んでしまうことを伝え、それがきっかけで二人は別れてしまうことになる。

地上に戻ったルイーズは、ついにすべての文字を解読する。

方法は簡単だった。ルイーズはこの事件のある後年、「ヘプタポッド文字」の専門家として本を出版するほどの研究者となる。その記憶をたどるだけですべては解読できるのだ。同時に彼女は「人間界の時間の概念」も超越する。

近い未来に行われるヘプタポット文字の出版披露パーティーには、中国人民解放軍のシャン将軍も出席していた。

シャン将軍は未来のパーティーで彼女に伝える。

「あの時、君が僕のプライベート電話にかけてきたことを忘れられないよ」

現在のルイーズは「未来の記憶」をたどる。
未来のシャン将軍はその時、ルイーズに携帯番号を教える。

現在のルイーズはその番号に電話を掛ける。

未来のシャン将軍はつづける

「あの時、君は僕に、妻の最後の言葉を告げたんだよ」そして彼はルイーズにその言葉を耳打ちする。

現在のルイーズはシャン将軍に電話で、その妻の最後の言葉を伝えた。

すんでのところで攻撃を止めた中国人民解放軍。

同時に各国で途絶えていた通信も再開する。

そしてヘプタポッドは空に消滅した。(帰っていった)

ルイーズはイアンと一緒にいた。

ルイーズは知っている。これからイアンと結ばれて娘のハンナを産み、その子供が大きくなる過程でイアンとの破局を迎え、さらに娘のハンナは病に侵されて亡くなってしまうことを。

それでもルイーズは、同じ道を歩むことを決めた。

 【メッセージ】感想:この上なく感動的な作品となった2つのポイント

その①:共通の言語は世界を救う

この映画の最も重要なテーマというのは、とにかく異生物が主張する「武器」というのが実は「言語」であるということですね。

これは別に何も宇宙人と我々のコミュニケーション、なんていう単なるSF的なものではありません。

この映画が伝えたいことっていうのは、お互いのコミュニケーションが平和の糧となることを言いたいわけですよ。

その事を伝えるとしてはこの映画はとにかく優秀ですよね。

そもそもこの映画、見てる最中から「ハリウッド映画っぽくないなー」と思っていたら、監督はフランス人らしいですね。

国籍で判断することも間違ってるのかも知れないけど、この映画には英雄も出てこなければ、「アメリカが知能や武力を先導」しているという記述もないし、最も重要なキーパーソンの一人として中国人のシャン将軍の事が描かれているけども、彼にしても結果的には非常にヒューマニスティックなキャラクターとして描かれています。

途中まではこんな風に和平的な描かれ方になるとは思っていなかったんで、あらゆる現象を興味深いと思いながらもどことなく不安な気持ちで観ていたのですが、大体においてほとんど完ぺきに偏りのない映画になっていると思います。

特にシャン将軍を突き動かしたものも「妻への愛」なので、そういったところがよくできているなと思いました。

その②:悲劇が訪れると分かっていたとしても

この映画はとにかく泣ける映画なんですけど、何が泣けると言ってルイーズの決断に号泣することは間違いがないです。

彼女は愛する娘を失うことを知ったうえで、それでも子供を産むことを決意するわけなんですね。
こんな悲しい決断はそうはないんですけど、本当に素晴らしいと思うんです。

ここでもし彼女がハンナを産まなかったとしたら、世界中の若くして命を落とした子供たちが生まれない方がよかったという結果になるんですよね。

あらゆる子供たちがその先どんな道をたどろうとも、生まれてきてよかったんだよ、というメッセージがこの映画には込められています。

この映画の示す未来は変えられるのか?

しかし、この映画では「時間の概念」が全く違うものとして描かれてますよね。
彼らの言う時間とは、「流れる」ものではなくて「ある」ものだと。

だとすれば、彼女がハンナが死ぬことを知っていてそれで彼女を産まないという決断はできないはずなんですね。

未来はこれから来るものではなくて、既に「ある」ものだから。 
同じように、夫とのことも言えますよね。

他の映画やあらゆる研究で、「未来は変えられるか?」とのテーマに挑んでいますけど、この映画ではその点は否定されているようです。

これから先、ルイーズはハンナを産みますよね。で、彼女は病気になってしまう。
例えば彼女はハンナの末路をイアンに伝えたことで、二人の関係は終わってしまうとルイーズは言っています。

その未来って、一見すると変えられそうだと思うんだよね。

病気には抗えないとしても、ルイーズがイアンに、ハンナの末路を伝えなければ二人は破局を迎えないと思うんですよ。

でも、この作品の言う時間の概念からすると、多分二人の結末は同じなんですよね。

結局どう頑張ってもルイーズはイアンと別れるし、ハンナと死別するんだと思うんです。

映画【メッセージ】のデザインのすばらしさ

以上のようにとにかくこの映画はシナリオが面白いんですけど、それだけではないですね。

あらゆるデザインがとにかくすばらしい。
もちろんこの「宇宙船」の造形のすばらしさは目を見張るものがあって、今年のアカデミー賞で初めてこの映画の予告を見たときには、最も観たいと思った映画でした。

キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」のモノリスを彷彿とさせますよね。

f:id:nitari-movies:20170522174755j:plain

宇宙船に入ってゆくと重力がおかしくなって上下がさかさまになったりしてすごくキレイです。

で、私としては宇宙人の造形も凄く良かったですよ。

昔ながらのタコ型でしたね。
なんでタコ型にしたんだろう?

f:id:nitari-movies:20170522175036j:plain

Arrival 4K Ultra HD & Blu-ray Review

何らかの哲学的な意味があるんだろうか?タコには。

全部みてみて、何となく新海誠の「君の名は。」にも通じるものがあったなーと思ったら、コメントを寄せてましたね。

そもそもこの作品の原作を知ってたようですね。影響を受けたりしたんだろうか?

映画【メッセージ】オススメ度

この映画は難解ていう風に言われそうですけど、仕組みが分かれば分かりやすい映画だと思います。哲学的ですけどね。

例えば「2001年宇宙の旅」みたいな天地がひっくり変えるような意味不明さ(真の傑作哲学映画)というわけではなく、理路整然としています。

なので何度も見たくなるし、非常におすすめです。

原作本も買ったので、後で読んだらまた記事にしようと思います。

スポンサーリンク

外国映画

Posted by NITARImovies